メガソーラーからホテル、キウイまで 比類なき事業展開スピード(後)
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芝浦グループホールディングス(株)
技術を応用させるビジネスモデル
ホテル事業への進出は意外な転身として話題を呼んだ。しかし、この転身も同社が育んできた技術の応用が生きているのである。芝浦グループが手がけるホテルの多くは既存のホテルを買収し、リニューアル工事を施したもの。これらホテル事業にはこれまで培ってきた不動産業での情報力、建設業での建築技術が支えているのである。そして、太陽光発電で新たに身につけたリアルタイムモニタリング技術。この技術をホテル業に転用し、宿泊料金を瞬時に適正な価格に設定するシステムをつくり上げ、空室率の極めて低いホテルを誕生させたのである。ホテルは14年だけで博多、天神南、飯塚、薬院、博多駅南の5カ所をオープンさせている。16年には当初の目標だった、延べ1000室を達成。
磨いてきた技術を応用させて新事業へ生かしていく。それが芝浦グループなのである。そして、今、注力しているのが、スーパーカービジネスだ。17年に北九州市でメガスーパーカーモーターショーを開催。イベント会社に委託せず、自らの手で一からつくり上げた。その陣頭指揮を執ったのが、17年8月に社長に就任した新地洋和氏だ。
個性を生かせる組織にしたい
「私たち芝浦グループの特徴は、なんといってもスピード感にあると思います。トップの判断も速いですが、全社員の対応スピードも速いと思います。たとえば16年から新事業としてキウイ農園をスタートさせましたが、農園面積は17.8haになりました。このスピードにはビジネスパートナーのゼスプリ社も驚いていました。これが実現できるのは社内の隅々までスピードが大事だという意識が行き届いているためだと思います」。
新地洋和社長は芝浦グループの特徴をこう語った。まず、トップの判断が速い。決断が速い。事業への取り組みが速い。従業員の対応が速い。このスピード意識が同社の新事業の展開の速さを生み出しているのだ。事業は慎重に進めるもの、速さを求めると失敗するのではないか。この疑問を新地社長にぶつけると「速いことがリスクにつながるとは考えていません。速く取り組めば、速く失敗に気づくことができます。失敗に気づけばいち早く修正を加えることができます。ですから、リスクというよりも、むしろメリットだと感じています」という返答が得られた。アクセルを踏み込めば一気に最高速に達する。それが芝浦グループの強みなのである。
同社が現在取り組んでいるのが、人材の発掘だ。在籍する社員約450名の個性を見て、能力に気づき、生かすことができる組織にしていくための布石を打っている。
「社員に活躍してもらえる会社にしていきたいですね。そのために社内の改革アイデアコンペを今年からスタートさせる予定です。これは芝浦グループの社員全員にチャンスがあり、優勝者には賞金を考えています。しかしこれは結果が重要なのではなく、日頃からアンテナを張るクセをつけ、社員でも自分のアイデアで社を変えることができると知ってほしいという思いからです」(同)。
より強靭な会社になるべく、社内改革に取り組んでいるのである。芝浦グループはこれからも加速し続けていく。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代表取締役会長兼CEO:新地 哲己
代表取締役社長:新地 洋和
所在地:福岡市中央区天神3-10-30(福岡本部)
北九州本社:北九州市小倉南区石田4-17-22
設 立:2010年8月
資本金:4億5,400万円
TEL:092-718-0067
URL:http://www.shibaura-group.com<プロフィール>
新地 哲己(しんち・てつみ)
1953年4月生まれ。77年、シンチデンキを創業、84年、芝浦特機(株)として法人化。現在、芝浦グループホールディングス(株)代表取締役会長兼CEO。<プロフィール>
新地 洋和(しんち・ひろかず)
1979年生まれ。グループ会社社長を経て、2017年に芝浦グループホールディングス(株)代表取締役社長に就任。関連キーワード
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