2024年12月27日( 金 )

東京五輪を前年に控え~日本人の覚悟

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 2019年がスタートした。「東京オリンピックが開催される2020年が日本のピークだ」と言われてきた。ピークの年を前年に控え、否が応でも時代に区切りをつけることが求められる。新年を迎え、日本人は下記の2点について覚悟しなければならないだろう。

移民時代

 愛国主義者(右翼)と目されていた安倍首相が、よくぞここまで「研修生名目の外国人労働者受け入れ増大」政策に舵をきったものである。
 現在、人手不足が深刻な問題となっており、人手不足による倒産続出が話題になっている。大企業も人材確保に躍起になっていて、安倍首相は思想信条(本当に愛国主義派かどうかは定かでない)をかなぐり捨てて実利優先の選択をした。

 各企業の要請に応えたうえで、アベノミクスの勢いを失わせないために外国人研修生を大量採用するという政策へと舵を切った。

 安倍首相の政策転換に支援層だと言われてきた右翼系のグループからは「移民増大につながる。日本人の純潔が侵される懸念がある」という異議が続出しているようだ。安倍首相にしてみれば苦渋の決断だっただろう。
 我が国は2000年以降、経済復興の過程で外国人研修生の大量活用を行ってきた。栃木県では日系ブラジル人の町が至るところにでき、岐阜県、愛知県では地域によっては人口に占める研修生の割合が10%に達するところもでてきた。

 しかし、2008年のリーマン・ショックによって、大幅に景気が後退した。すると掌を返したように外国人研修生を大量に国に送り返したのだ。これで日本の評判は一気に悪化した。今後の教訓にしなければならないだろう。

日本人滅亡の危機に直面

 「ピークの2020年」が過ぎ、景気が後退し始めたとしても研修生の首を切るわけにはいかないと覚悟すべきである。単なる国際世論への配慮という問題ではない。日本国家の存亡に関わる課題だからだ。
 2008年と現在では日本の人口構造が大きく変化している。2018年の出生者数が92人万まで落ち込んだ。2025年には年間死亡者数は200万人に達するとみられる。そのころには出生者数は90万人を割るだろう。単純比較で1年間に人口が110万人減る計算になる。そのころには金持ち・インテリ層は日本を見捨てて国外に移住するだろう。

 地方の現実=人口減のスピードは恐ろしい。宮崎県の海岸沿いの町(筆者の故郷でもある)を例に挙げよう。この町は山間部にあるわけではない。国道10号線、JR日豊本線の通過点で交通の要所に当たる。
 かつて、この町の人口は約4,000人だった。筆者の小学生時代、1クラス80人で全校生徒は約480人いた。しかし、最近では近隣の小学校2校を統合した。現在の全校生徒数は60名。6年生20名が卒業すれば40名となり、新入学児童は10名いるかどうかと囁かれている。

 全校生徒数が480人から60人にまで減っているという驚愕の現実(統合された2校分を含めると、おそらく530人が60人にまで減っている)。まさに日本の近未来を予想しているかのようではないか!!
 自称右翼の方々は「誇るべき日本人の血を一般の日本人が絶やす選択をした」という事実を問題にしなければなるまい。日本人は「種を保存する」使命をも捨てさるほど軟弱になったのである。
 侵略戦争や大災害などの天変地異によってもたらされた民族滅亡危機ではない、日本人そのものが自ら選択したことである。数年もすると消滅する自治体もでてくるかもしれない。『温故知新』からは学ぶことのできない未曽有の危機を迎えているのだ。

 だからこそ、外国人研修生のなかから日本に帰化する者を選ぶという措置を講じることが日本民族興亡のための最重要課題なのである。

仕事を奪われる覚悟

 「AIの進化により仕事を奪われる業種は何か?」が注目されている。「AI化」の特徴は一見、知的職種と見られる資格士(士業)の仕事が失われるということだ。識者は「歴史を顧みれば消滅した業種もあるが、人間を必要とする、新しく生まれる仕事もある」と呑気で無知な発言をしている。ところが「AI化」による激変に『温故知新』主義は通用しない。

 無人店舗、無人物流倉庫、トラック・タクシーの自動運転など、ブルーカラー労働だけが消滅する職種ではない。医療診断など、知的な領域までAIの活用範囲が拡大しているのだ。

 結論をいえば「AI化」が進めば進むほど、人の手を必要とする職種は減り、新たな雇用は生み出されないと断じる。仕事を奪われる覚悟が必要だということだ。「新しいスキルを磨いて転職しろ!!」とすすめても磨いたからといって簡単に再就職できない時代がまもなく来るだろう。

24時間自由で生きる鍛錬を!!

 「では、どうやって生計をたてればよいのか?」と、皆さま切実な疑問をもつことだろう。筆者は「ベーシックインカム(最低限の所得保障)を受けて暮らすしかない」と回答する。

 要するに「24時間、自由な時間を過ごす訓練をしなさい」という助言しかできないのだ。ただ「ベーシックインカム」も日本経済が健全であってこそ成立する。

 この項で2つの覚悟を説いた。「外国人研修生の大量受け入れ」と「AI導入」である。この2つが両立できなくなった時、社会は大混乱に陥るだろう。2020年を前に我々は、新たな哲学=人間は何のために生きるのかを考え、経営手法の全面的な見直しをすることが求められる。

 今年は『新元号』へとかわる年だ。古来より『温故知新』という言葉が使われてきたが、2019年は「過去から学べない」激変の年になるのが確実である。

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