2024年12月24日( 火 )

『小笠原ブランド』を進化させ、より良い住空間づくりへ貢献し続ける(後)

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(株)小笠原

47都道府県に導入

 同社のフルオーダーのユニットバスは、2年前の2016年9月に47都道府県へ導入が実現された。事業開始当初は、介護・福祉施設や医療関係施設からの問い合わせと受注が舞い込んできた。それぞれの施設によって使う人々の属性が異なる。『手すりの位置、広さ、必要な装備、使う目的』など浴室を利用する人々が、安心・安全であると同時に、一番良い条件で使えるようにきめ細かな創意工夫をしながら、カタチにしていく。1点1点のパーツに至るまで、それぞれのリクエストに応える。その実績と経験を積み上げることで、より品質の高いサービスをつくり上げていった。

 介護・福祉施設・医療関係での実績は、徐々に業界内で高い評価を受けるようになり、それら施設だけでなく、個人の戸建住宅における浴室のリニューアルでも採用されるようになる。要介護の人々に、「気持ち良く浴槽につかってほしい」と願う家族の思いが原点で、心から安らげる環境を提供してあげたいという思いが、同社のフルオーダーユニットバスによって体現される。近年は、医療機器や機械浴メーカーとの提携を積極的に実施し、より強固な事業の展開を行っている。

 福祉施設は、地震など自然災害への対策として耐震耐久性の高いリニューアル工事が増加傾向で、その際に同社のフリーユニットバスが導入されている。11年3月11日の東日本大震災発生以降は、被災地の公民館からの受注が増え、それ以外の地域からも災害時の対策として採用されている。

 同社のフリーユニットバスは介護・福祉関係のみならず、ホテル業界においても受注が増加傾向だ。昨今のインバウンド需要の高まりにともなって、国内各地でホテル新設が増え続けており、その新設時にそれぞれのホテルの特性を出すために、導入されている。ホテルオーナー各人の、それぞれの思いが反映される、浴室がデザインされ、カタチになるのだ。ホテルのリニューアル時も然りで、浴室というリラックス空間の満足度をより高めるために採用されている。

 これらフリーユニットバスは、顧客とともに二人三脚で1点ずつつくり上げていく事業だ。他社がやらないことに手間暇をかける。その経過を伝えるべく、同社は、図面や導入事例の写真などを自社ホームページで積極的に発信するとともに、年に2〜3回東京で開催される各種展示会に出展し、顧客とのより深い関係性を構築している。

挑戦を楽しむ仕事

 同社は、福岡市を拠点に札幌市・宮城県仙台市・東京都葛飾区と大田区・愛知県名古屋市・大阪市・福岡県久留米市・佐賀県鹿島市・沖縄県宜野湾市・広島市の10地区へ支店・営業所・出張所を構え、各所にフリーユニットバスの製品が展示され、全国を網羅している。18年4月期の売上高は約53億円で、東京・名古屋・大阪・札幌・沖縄の業績増加が顕著である。一方、国内の建築業界全体の課題である人材不足に同社も直面している。とくに専門職人と設計および現場監理の人材が不足している。

 同社は専門職人については、ベトナムからの人材を中心に採用を始めている。近年、発展が目覚ましいベトナムにおいて、日本の建築技術を現場で学び、本国でいかせるメリットがあるなど、双方にとって有益な人材戦略となっている。設計・現場監理については、建築を専門的に学んできた学卒の人材を積極的に採用する。

 「我々は、常に新たな製品・サービスを生み出し、提供していくことに挑戦し続ける企業風土が醸成されております。自由な発想で、ゼロからつくり出すという仕事を楽しんでもらいたいです」(小笠原社長)。『小笠原ブランド』の進化は、まだまだ続く。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代表取締役会長:重松 繁利
代表取締役社長:小笠原 正行
所在地:福岡市博多区博多駅南6-12-25
創 業:1946年7月
設 立:1981年7月
資本金:2,000万円
TEL:092-431-2751
URL:http://www.ogasawara-agp.com

<プロフィール>
重松 繁利(しげまつ・しげとし)

 1942年、佐賀県生まれ。61年に(株)小笠原商店に入社。81年に(株)小笠原を設立し、代表取締役社長に就任。2007年7月、代表取締役会長に就任。

 

小笠原 正行(おがさわら・まさゆき)
 1955年、佐賀県生まれ。東京理科大学卒業後、79年に(株)小泉に入社、81年に(株)小笠原に入社する。取締役を経て、2007年に代表取締役社長に就任。

(前)

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