ここが変だよ『変なホテル』
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HISホテルホールディングス(東京都新宿区)は、1月17日(木)、九州では2店舗目、福岡では初となる「変なホテル福岡博多」をオープンさせた。一体どこがどんな風に“変”なのか――。16日、一足早くメディア向けにその内容が公開されたので、早速行ってみた!
「フロントから変だった」
ホテルに足を踏み入れるとそこはジュラ紀だった。フロントには、笑顔で宿泊客を迎え入れるコンシェルジュの姿はなく、代わりに、今にも宿泊客に食らいつきそうな恐竜が2頭いた。映画「ジュラシックパーク」の悪役恐竜として名を馳せたヴェロキラプトルだ。
思わずチェックインをためらいたくなるような威圧感を放つ2頭だが、カウンターの前に立つとお辞儀をしてくれる可愛らしい一面も。どうやら変なホテルのヴェロキラプトルは、映画「ジュラシックワールド」版の、人間とコミュニケーションが取れるタイプの方だったようだ。
さて、お気づきの方も多いだろうが、恐竜は本物ではなく、精巧につくられたロボットである。メンテンナスは基本的に外注ということで、相応の費用負担を強いられるわけだが、同社取締役・清水学氏は「ワクワクできる宿泊体験を提供したい」と変なホテルへの思いを語る。“ここでしか味わえない”というのは、宿泊の動機付けになる。一見ギョッとするようなフロントは、他社には真似できない同社ならではの「おもてなし」だったのだ。
「ターゲットも変(?)だった」
今回、同社が福岡に出店を決意したのは、福岡の可能性に惹かれたからだという。福岡はアジアから見た“日本の玄関口”として東アジアの主要都市から3時間以内でアクセスが可能で、外国人観光客を中心に交流人口が増加傾向にある。国内だけでみても、東京・大阪を営業拠点とする企業の福岡進出が目立っており、関東・関西圏から福岡への出張も増えている。
外国人観光客と国内のビジネスマン――「変なホテル福岡博多」が狙う最大の宿泊ターゲットはこの両者だ!と、思っていたらまったく見当違いでズッコケた。何と、同ホテルがターゲットにしているのは『女性』だったのだ。
「中洲はどうしても『大人の社交場』というイメージが強くあります。私たちが目指したのは、女性観光客が屋台でおいしい食事とお酒を楽しんだ後、徒歩圏内にあって安心して滞在できるホテルです。また、女性に限らず若者も、中洲の夜を思いっきり楽しめるように宿泊料金はリーズナブルな価格帯でスタートします。競合が激しいのは承知ですが、中洲エリアで新しい市場の開拓を目指します」(開発担当:芝野紗矢香氏)
オープンから3月までは一泊6,000円。周辺のホテルと比較しても、確かにお手頃価格だ。最先端の技術が生み出すホスピタリティを味わう絶好のチャンスといえよう。
「変から生まれる愛着」
変なホテル福岡博多には、まだまだ多くのこだわりが隠されている。女性をターゲットにしているからこそ、各部屋には化粧台が設置されているほか、LED照明付きミラーや、地元のグルメ情報などが検索可能な客室設置型タブレット「tabii(タビー)」も完備。泊まる場所だけにとどまらず、旅のサポートまでが視野に入れられている。
また、進出地が博多区中洲ということもあり、ホテルのコンセプトカラーには博多織五色のうち紺色を採用。客室には山笠の法被や博多織、レストランには小石原焼きや飛梅の装飾など、地元の文化を感じられる内装が施されている。
一見しただけの感想はたしかに「変」にとどまる。しかし、新旧文化の融合が生み出す細部へのこだわりを知るにつれ、いつしか愛着を感じられるようになる。それが、変なホテル福岡博多の魅力だ。
【代 源太朗/長谷川 大輔】
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