2024年11月23日( 土 )

脱原発政策で賑わっている太陽光ビジネス(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏 

 2011年の東日本大震災における福島原子力発電事故で、原発に対する警戒心が高まり、世界的に再生可能エネルギーに注目が集まるようになった。
日本は再生可能エネルギーを拡大させていくため、2012年7月から固定価格買取制度(FIT)を導入したが、韓国もそれに追従するような政策を採用した。韓国では固定買取制度以外に、一定規模以上の発電事業者に総発電量のなかで一定量以上を再生可能エネルギーで供給するようにする再生可能エネルギー利用割合基準RPS(Renewable Portfolio Standard)も運営されている。

 韓国の文在寅大統領は、脱原発政策を加速させ、再生可能エネルギーの割合を、2030年まで20%にするという「再生エネルギー3020」政策を発表した。これによって、韓国では太陽光発電所が雨後の竹の子のように建設され、太陽光ビジネスが活況を呈している。ちなみに、韓国の再生可能エネルギーの割合は現在、全発電量の9.3%を占めている。

 政府は再生可能エネルギーの割合を高めるため、太陽光発電所の設備導入に補助金を支払ったり、発電された電力は20年間固定価格で購入してくれることになっている固定価格買取制度を採用している。その結果、直近2年間の太陽光発電の許可面積は急増している。 

 このようなトレンドは韓国だけの話ではない。全世界的に太陽光の発電設備容量が急激に増えている。2000年の太陽光の発電設備容量は1ギガワットに過ぎなかったが、2016年の発電設備容量は290ギガワットに達している。このように太陽光発電の設備導入が増えたことによって、太陽光発電のシステム価格も2016年の1ワットあたり1.14ドルから、今年もしくは来年になると、1ドルを下回ると予測されている。とくにモジュール価格が下がっていくので、システム全体の価格も下がることが見込まれている。今回はこのようにクリーンエネルギーとして脚光を浴び、政府の政策によって急ピッチで増加している太陽光発電に、どのような問題が潜んでいるのかを取り上げてみたい。

 まず、韓国のように国土面積が小さく、山地が多い国が太陽光発電を推進すると、国土が太陽光パネルで覆われてしまう恐れがあるという指摘がある。韓国の全電力を太陽光発電だけで賄うとなると、国土の60%が太陽光パネルで覆われると言われている。これに対して韓国太陽光発電産業協会では、太陽光発電1ギガワットに必要な面積は約13.2 km2だとしている。実際、韓国の太陽光の普及容量は4.1ギガワット、面積では52 km2だが、この面積は国土全体の農地面積の0.6%に過ぎないという。それに、太陽光の発電効率と施行技術の技術発展が進んでいるので、太陽光発電に必要な面積が減っていくことは間違いない。

(つづく)

(後)

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