脱原発政策で賑わっている太陽光ビジネス(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
太陽光発電は発電効率に問題があると指摘されている。モジュールの効率は技術発展で徐々に効率が上がってきているものの、太陽光発電は外部要因による効率の低下が避けられないようだ。よって、太陽光発電はモジュールの最大効率が発揮されるのはまれで、温度、湿度、雲の量、日射量などの気象条件と、ごみや汚れによって効率が下がりやすい。
通常、太陽光発電では、温度が1度上がると、効率が0.5%ずつ減少する。よって、夏場は日射量が多いにも関わらず、温度と湿度によって、むしろ発電量は少なくなる。このような温度上昇による発電効率の低下を防ぐためには、大きく3つの方法が模索されている。
1つ目は冷却装置をつけることによって、熱を放出させる方法である。2つ目は、太陽電池の素材または構造を変更することによって、温度上昇による影響を少なくする方法である。3つ目に、水面上にパネルを設置することによって、パネルの温度が上昇しないようにする方法である。水面上の太陽光発電は、陸地の太陽光発電にくらべ、発電効率が10%高いという統計もある。
買取価格の下落も太陽光発電ビジネスのリスク要因として挙げられている。現在はわれ先にと多くの企業が太陽光発電事業に参入しているが、買取制度は税金によって賄われているので、税源が不足してくると、買取価格が下がることを考慮する必要があるという話である。太陽光発電が最も反対されている理由に、太陽光発電が引き起こす環境問題があると言われている。林野に建設される太陽光発電所は、森林を伐採したり、山を削ったりするので、環境問題への悪影響が大きいと懸念されている。実際、台風による太陽光発電所の土砂崩れなどが被害として発生している。
さらに、使い終わった太陽光パネルが引き起こす環境問題も危惧されている。太陽光パネルには多結晶シリコンという原料が使われているが、パネルを製造する過程で、四塩化ケイ素が発生するという。四塩化ケイ素は肌や目に悪い影響を与えるだけでなく、呼吸困難を引き起こす可能性があることが指摘されている。また廃棄された太陽光パネルから鉛、カドニウム、インジウムなどの重金属が検出されている。このような重金属は水質、空気、土壌を汚染させるだけでなく、そこで育った植物による悪影響も問題視されている。寿命がきているパネルは再生する方法も検討されているようだ。
最後に、太陽光発電は発電量の変化が激しく、電力網への悪影響が懸念されているが、ドイツは再生可能エネルギーが全電力の30%を占めているにも関わらず、同国の2015年の停電時間は12.7分に過ぎなかったという。むしろ、ドイツは電力網の安定化に向けて努力を惜しまなかった結果、電力網は以前より安定しているようだ。蓄電池などのバックアップシステム、需要予測などの周辺産業が発展するきっかけになったという。
国際エネルギー機構(IEA)の評価によると、電力需要の15%~20%水準では、電力網にあまり影響がないという。上記で見てきたように、太陽光発電は現段階ではいろいろな問題を抱えているのも事実のようだ。だから、国の政策によってむやみに太陽光発電を普及させることは得策ではない。太陽光発電の技術進歩に歩調を合わせて、徐々に普及させていくことが望ましいだろう。
(了)
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