決別!「ドンキ」化するファミマ(中)
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ドンキ流のコンビニに転換
この2~3年でファミマ側の経営体制は大きく変わった。16年、ユニーと経営統合し、ユニー・ファミリーマートホールディングスが発足。18年8月にはユニー・ファミマが伊藤忠商事の子会社となった。
17年にユニー・ファミマはドンキホーテホールディングス(19年2月にパン・パシフィック・インターナショナル・ホールディングスに商号変更)と資本・業務提携。ドンキはユニー・ファミマからユニー株を取得し、今年1月に完全子会社にした。ユニーの総合スーパーを5年以内に100店をディスカウント店に業態転換する。
18年6月、コンビニのファミマはドンキの品ぞろえや陳列方法を導入した共同実験店を都内3店舗でオープン。ファミマは昨年9月、共同実験店の1つである「ファミリーマート大鳥神社前店」の実績は、日商26%増、客数10%増、客単価15%増となったと発表した。
この店舗にはドンキが推奨した商品を半数近く取り入れた。ファミマが売れ筋商品を分析したところ、ドンキ名物の「焼き芋」が販売金額ランキングで5位となった。焼き芋は、専用の焼き芋機に生のサツマイモを入れ、60分加熱して提供している。
「なぜ焼き芋が売れているのか?」と記者に質問されたファミマの幹部は、「なぜ焼き芋が売れているのかわかりません」と困惑したと報じられた。
ファミマは共同実験3店から得られた成果を、全店に広げる考えだ。ファミマのレジ横で「焼き芋」が売られる日がやってきそうだ。
ファミマはコンビニのドンキ化を進める。ドンキ流の品ぞろえの一環として、無印良品の扱いをやめた。ファミマは伊藤忠の子会社になった。「セゾン」と縁を切って、親が勧める「ドンキ」とお付き合いすることにしたということだ。
無印良品の誕生秘話
セゾングループの総帥、堤清二氏は2013年他界した。経営者の顔と辻井喬という詩人の顔をもつ。詩人の感性を経営にもち込んだ。「無印良品」は堤氏の経営思想が凝縮された代表作の1つだ。『日経ビジネス』」(2017年11月20日号)は「堤清二 先見と誤算」と題した記事で、「無印良品」誕生の経緯を書いている。
社外人材による「クリエーティブチーム」のメンバーであるコピーライターの小池一子氏と、アートディレクターの田中一光氏が、無印良品誕生の立役者だ。夜の新宿の街で、飲みながらの論議が核になった。
〈チームから出た案が「無印良品」。ノーブランドだけど品質は良い。飾り気のない日本語だ。堤は即日、決裁した。「決まった瞬間、鳥肌が立った」と小池は振り返る。〉
・日経ビジネス(2017年11月20日号)
80年12月、「無印良品」は、西武百貨店、西友ストアー、ファミリーマートで発売された。無印良品が一般のプライベート・ブランドとの差別性をもったのは、「無印良品」という命名に始まって優れたコピーがつくられたことである。80年の「わけあって、安い」、81年の「愛は飾らない」などのコピーにみられる、シンプルなものが美しいという主張は、消費者に認知された。
(つづく)
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