【日韓ビジネスコンサルタントの視点】米中貿易戦争長期化への懸念~戦々恐々の韓国経済(1)
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米中間で貿易戦争が始まった。アメリカは1980年代に日本の自動車、家電、半導体などで市場を席捲され、日本との間で貿易摩擦が生じたことがある。この時の日米貿易摩擦は、アメリカの輸入超過による貿易赤字が原因で発生し、それを解消するためのものであった。しかし、今回の「米中貿易戦争」は、それとは様子が違う。
アメリカの目的は覇権維持
中国は2001年にWTOに加入している。アメリカは中国が市場経済に参加することを歓迎し、その後、中国の経済発展に協力もしている。なぜかというと、中国が経済発展を遂げて、国民が豊かになり、その結果、共産主義から資本主義に体制がシフトすることをアメリカは密かに期待していたからだ。中国は1978年12月の共産党全体会議で、毛沢東時代の疲弊した経済を立て直すため、鄧小平が改革開放政策をとり、市場経済体制への移行を断行した。
その後、中国経済は順調に成長し、中国は「世界の工場」となり、安い賃金で多くのものを生産し、世界に供給した。そのようななか、中国はアメリカへの輸出で大きな成長を遂げる。その結果、アメリカの対中貿易赤字はずっと増加の一途をたどり、3,000億ドル以上の莫大な金額に膨らむことになる。
しかし、トランプ氏が大統領になってから、アメリカの対中国家戦略に変化が起きている。トランプ大統領は就任前から、中国政府の通商政策を不公平とし、改善されるべきと思っていた人物だ。トランプ大統領をはじめ、アメリカの首脳陣は中国との今までの関係は不公平で、このまま状況が続けば、米中の力関係が逆転し、アメリカは覇者の地位から引きずり降ろされるかもしれないと懸念する人物で占められている。
今回の貿易戦争は、単なる貿易赤字を解消するためではなく、アメリカの覇権を維持するためのもの。中国は外国企業が中国に進出すると、中国企業との合弁という規制を課せ、外国企業の最先端技術をずっと盗んでいた。つまり、先進国で多額の投資をして開発した知的財産権を中国は平気で侵害し、それを活用するという狡い方法で成長を遂げてきた。
それに、先進諸国が今まで大事にしてきた国際秩序を中国が守ろうとしないことも今回の米中貿易戦争の原因の1つだ。中国のやり方をこのまま放置すると、アメリカの競争力は早晩失いかねないという危機感がアメリカ側に芽生えた。実際、中国の技術レベルは飛躍的な発展を遂げ、人工知能、携帯電話、通信などの分野で、アメリカの覇権に大きな脅威になりつつある。中国は軍事力の拡張も続けており、数年後には軍事的にもアメリカと対等な水準になるとされている。これ以上中国が強くなると、アメリカの手に負えなくなる可能性も高い。技術力も軍事力もアメリカが優位である今のうちに、中国を抑えておこうということだろう。
今回の貿易戦争は、中国が掲げている「中国製造2025」を阻止し、最先端分野で中国に追い越されることがないようにすることが目的であることはたしかだ。関税で経済的に有利になるという経済的な要因より、安全保障上の脅威を理由に、機密情報の流失を防止するという覇権維持が大きな目的である。
(つづく)
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