【日韓ビジネスコンサルタントの視点】米中貿易戦争長期化への懸念~戦々恐々の韓国経済(2)
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中国にとっての不利
このような米中貿易戦争をめぐって、全世界は今騒然となっている。なぜかというと、世界は大恐慌時に経験した保護貿易がもたらした弊害、すなわち歴史上の苦い経験があるからだ。大恐慌時にも今回のように保護主義が台頭し、関税が60%もかけられた。その結果、世界の交易量は3分1まで減少した。今回の米中戦争はそのように発展していくのではないかと、各国が神経をとがらせている。
アメリカは中国に貿易戦争を仕掛けている。これに対して中国も強気な姿勢を崩さず、事態はエスカレートしている。トランプ大統領は7月6日にアメリカに輸入される中国の製品818品目に340億ドル規模の25%の制裁関税を課すことを発表した。その後160億ドルが追加され、また2,000億ドルの報復関税が上乗せされ、中国に対して合計2,500億ドルの輸入商品に関税がかけられるようになった。
中国もアメリカと同じ金額の340億ドルのアメリカからの輸入品に対して、25%の報復関税を課した。2,000億ドルの関税に対しては、600億ドルの報復関税がかけられるようになった。アメリカが中国から年間輸入している金額は5,055億ドルで、中国がアメリカから輸入している金額は年間1,299億ドルである。従って、アメリカは今回の措置で輸入分の半分くらいに制裁関税をかけたことになる。
しかし、中国はアメリカから輸入している金額が比較的小さいので、同じような報復関税で対応することはできない。金額だけでなく、今回の貿易戦争は中国にとって不利な戦争である。アメリカが中国から輸入しているのは工業製品であり、中国以外の国から輸入できないわけではない。一方、中国がアメリカから輸入しているのは農産物と原料がメイン。農産物のなかでも、とくに大豆はアメリカで買うしかない。中国の報復関税で、大豆の価格が値上がりすると、農家などに大打撃を与える。
今回、貿易戦争を仕掛けるようになった背景には、国家通商会議のトップに就任した対中強硬派のピーター・ナバロ氏の影響があることも取りざたされている。ナバロ氏は中国に対する強硬論者で、中国の脅威に関する本も出している。ナバロ氏は中国製品に関税をかけたり、中国の投資に規制をかけて、中国をけん制することはアメリカの国益になると思っている人だ。
(つづく)
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