【日韓ビジネスコンサルタントの視点】米中貿易戦争長期化への懸念~戦々恐々の韓国経済(4)
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強まる韓国の悲観論
米中貿易戦争は韓国経済にどのような影響をおよぼすだろうか。現在、韓国経済は悪材料がいくつも重なっており、先の見通しができないほど不透明な状況に置かれている。しかし、18年は半導体がスーパーサイクルと言われているほど好調だったため、数字の上では極端に悪い状況ではない。しかし、韓国経済を支えてきた半導体も、来年は市場が悪化されることが予想されている。それに、経済指標がすべて下り坂で、投資心理も冷え切っている。
そのようななか、米中貿易戦争が始まり、韓国経済に暗雲が立ち込めている。韓国は輸出依存度の高い国で、ほかの国より外的要因による影響をもろに受けやすい。アメリカは、韓国産の太陽光電池に関税30%をかけるというセーフガード(緊急輸入制限措置)を発動している。それによって、韓火キューセルは対米輸出が70%減少することが予想されている。鉄鋼も自主規制に入ることになり、今までの輸出額の70%に上限が設けられることになっている。
上記のような措置により、18~22年、鉄鋼は12億4,000万ドル、洗濯機は7億6,000万ドル、太陽光は4億7,000万ドルの輸出減少が予想されている。韓国の米中合計の輸出比重は40%で、かなりの部分を占めていることはたしかだが、韓国は輸出先を多様化することを急いでいる。
韓国のマスコミでは米中貿易戦争に対する悲観論が多い。実際の韓国貿易の実績は昨年対比6%増加、中国向けは13%増加、アメリカ向けは2.6%増加となっている。しかし、アメリカ、ヨーロッパ、中国が関税を10%引き上げれば、世界のGDPは1.4%減少するし、韓国の輸出も6.4%減少するという統計もある。
今回の貿易戦争は世界の覇権をかけた戦争であり、長期化が予想される。本当の狙いは、第4次産業革命で覇権を握ること。第4次産業革命の肝は、やはりデータである。今後データは原油よりも大事で、データをどれほど有効活用できるかによって、産業の競争力は左右される。
産業競争力の源泉になるといわれている人工知能も、膨大なデータの確保が前提になる。中国はアメリカより3.5倍くらいの人口を抱え、中国が確保している膨大なデータは、アメリカの脅威になる。実際、中国は人工知能分野でアメリカより進んでいるといわれている。人工知能で遅れてしまうと、その影響はすべての産業に波及する可能性も排除できない。アメリカには現在進んでいるクラウドコンピューティングを利用し、中国市場を開放させることによって、データを確保し、第4次産業革命でも、依然として優位を保ちたいという思惑がある。
いろいろな要因が重なって勃発した米中貿易戦争。米中の交易規模は6,300億ドルで、33兆ドルの世界交易全体からすると2%に過ぎないが、長期化に備えて対策を講じた方が賢明だろう。
(了)
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