2024年12月26日( 木 )

「懲りない」非常電源の点検普及団体 消防庁指摘もいまだ続く「不適切表現」

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 非常用発電機の消防点検啓発活動を行う「(一社)日本発電機負荷試験協会」(JLA)(本部:東京都中央区、長坂五郎代表)の加盟企業が、営業目的で建物オーナーに配布した文書内に誤解を与える表現が複数記載されていることがわかった。文書を確認した消防庁は「消費者が事実を誤認する可能性がある」と指摘。データ・マックスはこれまで2度、JLAが配布した資料について消防庁の検証のもと、問題点を指摘していた。JLAは消防庁から厳重注意を受けているにもかかわらず、依然として不適切な表現を繰り返し使用していたことになる。

 JLA会員から負荷試験の提案を受けたという読者から2枚の文書がデータ・マックスに届いた。内容に疑問をもった筆者が、消防庁予防課に相談したところ、文書内に不適切な表現が複数含まれていることがわかった。消防庁が指摘したのは、添付の赤字部分。大きく分けると、4点あった。

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(1)は3つの点検方法を比較した部分。負荷試験が最も有効な手段であることを示しており、負荷試験に誘導する意図があるとみられる。赤字に指摘されるような、事実とは異なる表現が含まれる。
(2)は法令点検の提出書類に関するもの。「データ添付がないものは無効」と記載されているが、消防庁は「添付がない場合も無効になることはない。添付が望ましい」と指摘している。
(3)は統計に関する部分。「自家発電機のおよそ8割が点検未実施」と記載されているが、「消防庁にもこれに関する統計はない」(消防庁)としており、根拠が不明である。
(4)は点検未実施の罰則に関するもの。消防庁は「表中の(2)(3)(4)は点検とは無関係」としたうえで、意図的に点検を促すことを意図した記載になっていると指摘。

 全体を踏まえて、消防庁は「営業活動は自由だが、誤解を与えたり、根拠のない表現を用いるのは不適切。過去に注意したのに、改善されていないのが遺憾である」とコメント。JLAに対し、同文書はJLAが認めたものだったのか。加えて、消防庁の指摘に対するコメントを求めた質問状を送ったが、回答はなかった。

 なお、消防庁予防課では、負荷運転の営業活動における不適切情報を発見した場合には同課【03-5253-7523】まで通報するよう注意を促している。

【東城 洋平】

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