九州地銀の2019年3月期 第3四半期を検証する(5)
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【表1】を見ていただきたい。コア業務純益(連結)の順位表である。一時的な変動要因を取り除いた、本業の実質的な収益力を示す計数であり、コア業務純益」=「業務純益」+「一般貸倒引当金繰入額」-「国債等債券関係損益」で表される。
今後予想される九州地銀の経営統合において「この指止まれ」と、他行を呼び込む核となる指標の1つである。
<この表から見えるもの>
・第1位はふくおかFGで前年比+34億円の581億円(前年比6.3%増)。2位は西日本FHで前年比+18億円の308億円(前年比6.2%増)。3位は九州FGで前年比+44億円の278億円(前年比19.3%増)と巻き返しをはかっているのがわかる。
3FG・FHのコア業務純利益合計は前年比+97億円の1,169億円(前年比9.1%増)となっており、増加傾向にある。
・シェアを見ると、ふくおかFGが49.8%で、西日本FHが26.4%、九州FGが23.8%となっており、ふくおかFGがほぼ5割を占めており、不動の地位を守っている。
【表2】を見ていただきたい。九州地銀18行のコア業務純益(単体)の順位表である。
<この表から見えるもの>
・第1位はふくおか銀行で、以下は西日本シティ銀行、鹿児島銀行、4位の肥後銀行までが100億円以上となっている。
・5位は宮崎銀行、6位は大分銀行、7位は十八銀行、8位の親和銀行までが50億円以上となっている。
・第一地銀の筑邦銀行や赤字となり株式売却益で穴埋めした佐賀銀行の経営の厳しさが目に付くが、全体的には第二地銀の経営はさらに厳しく限界に達しているように見える。
【表3】を見ていただきたい。九州地銀の県別預貸金の推移表である。
<この表から見えるもの>
・2016年4月14日夜、気象庁震度階級では最も大きい震度7を観測する熊本地震が発生。その後も最大震度が6強の地震が続き、資金需要が高まった。
肥後銀行の貸出金は前年比+2,225億円の3兆4,689億円(前年比6.9%増)。一方、熊本銀行も前年比+1,967億円の1兆5,113億円(前年比15.0%増)と大幅に増加しており、両行の間で激しい貸出競争が展開したものと推測される。
・鹿児島県における鹿児島銀行と南日本銀行の貸出金シェアは85.7%:14.3%。大分県における大分銀行と豊和銀行のシェアは81.3%:18.7%。また宮崎県においても宮崎銀行と宮崎太陽銀行のシェアは80.3%:19.7%であり、いずれも一方が20%を超えていない。
しかし熊本県における肥後銀行のシェア69.7%に対して、熊本銀行は30.3%と非常に高いのが目立つ。肥後銀行にとってふくおかFG傘下の熊本銀行は、無視できない存在となっているのがわかる。
<まとめ>
肥後銀行の笠原慶久頭取は昨年11月7日に開いた記者会見で、九州最大のマーケットで成長性に富む福岡エリアでの業績拡大を図るため、企業向け貸出を強化する方針を明らかにした。肥後銀行は福岡支店と南博多支店の2店舗を構えているが、福岡市博多区に建設中の「九州FG福岡ビル」の開業に併せて、今年6月、同ビル内に新たに福岡法人営業室を新設。福岡法人営業室の人員は14人とし、福岡市における行員は全体で42人と現状より7人増員し、陣容を拡大すると発表。肥後銀行は鹿児島銀行福岡支店と力を合わせ、ふくおかFGの本丸に楔(くさび)を打ち込む決意を固めたようだ。(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】
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