二転三転、上位チームとの好ゲームはドロー 福岡2-2町田

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 サッカーJ1リーグ・アビスパ福岡は29日、ホームのベスト電器スタジアムにFC町田ゼルビアを迎えて第7節の試合を行った。

 アビスパ、町田の両クラブはそれぞれリーグ戦3連勝と好調を維持してこの試合に臨んだ。町田の中盤には昨シーズンまで「アビスパの心臓」としてサポーターから深く愛されていたMF前寛之が名を連ね、対するアビスパの左サイドには町田で昨シーズン3得点を挙げたMF藤本一輝が入る。そしてアビスパを率いるのは、町田の躍進をヘッドコーチとして支え続けた金明輝監督──と、なにかと縁のある両クラブの対戦。試合開始前のメンバー紹介では、MF前、MF藤本、金監督がコールされると、それぞれの古巣のサポーターから暖かい拍手が送られた。

 桜の開花からわずか3日で満開となった前日までとは打って変わって、冬の風が吹きつけたベスト電器スタジアム。観客にとっては厳しい環境だが、選手たちにとってはプレーしやすい気温。試合直後、ペースを握ったのは町田だった。

 試合後の記者会見で、金監督が「最初の15分がね…」と振り返ったように、スピードのある攻撃でゴールに迫った町田。10分、元日本代表FW相馬勇紀が蹴ったコーナーキックを町田DF岡村大八が頭で合わせると、ボールは両チームの選手が入り乱れるなかゴールラインをわずかに割る。「やられた」という感じがないまま、あっという間にリードされたかたちだ。

前半、決定的なシュートを放つFWザヘディ。ゴールならず
前半、決定的なシュートを放つFWザヘディ。ゴールならず

 だが、今度はアビスパがセットプレーから反撃する。22分、MF北島祐二がコーナーキックを短く蹴ると、ボールはMF見木友哉、MF紺野和也がつないで再びMF北島の足元に戻る。北島はエリア内を一瞥すると鋭いクロスを送る。このボールが飛び込んでくるFWシャハブ・ザヘディをかすめたところに鋭く反応したDF安藤智哉が右足で流し込み、わずか10分あまりで同点ゴールを奪う。

前半、同点ゴールを決めたDF安藤
前半、同点ゴールを決めたDF安藤

 この得点を契機にしてアビスパは強度の高いプレーを繰り出し、日本代表クラスの選手をそろえる町田にプレッシャーをかけ続ける。

 後半に入ると、さらにアビスパの攻撃は鋭さを増す。54分には右サイドでMF紺野とのパス交換で相手を振り切ったDF前嶋洋太が上げたクロスに、エリア内に飛び込んだFWシャハブ・ザヘディが左足アウトサイドでダイレクトに合わせるボレーシュート。これはわずかにそれていくが、アビスパの攻勢は続く。

 そして惜しみなく走るアビスパのプレッシングが、望外のゴールを生む。64分、途中交代でピッチに入っていたMF名古新太郎が町田DF岡村にプレスをかけると、岡村は日本代表GK谷晃生にバックパス。このボールをダイレクトに蹴ろうとしたGK谷の足元で、わずかにボールがイレギュラーバウンドしてしまう。谷のキックは浮いたボールの下をこするかたちになり、逆回転がかかったボールはそのままゴールに吸い込まれてしまう。痛恨のオウンゴールだ。

後半、激しく競り合うDF前嶋とMF前
後半、激しく競り合うDF前嶋とMF前

 まさかのかたちでリードしたアビスパは、これに満足することなく3点目を狙って攻め続ける。だが、町田の黒田剛監督が「仲間のミスをチームで補う、チームワークを発揮してくれた」と語ったように、町田もあきらめてはいなかった。83分、カットしたボールを敵陣でつなごうとしたアビスパから町田がカウンター攻撃。パリ五輪日本代表FW藤尾翔太が一気に駆け上がり、アビスパエリア内でボールがもつれたところをMF仙頭啓矢が押し込んで同点、試合を振り出しに戻す。3点目を狙ったアビスパの一瞬の隙を見逃さず、途中出場した選手が絡む見事な攻撃を見せた。

 試合はこのまま終了、2-2の引き分けとなった。全体として強度が高く、また切り替えの速い見ごたえのある一戦となった。試合後、MF前とMF藤本は前所属サポーターに挨拶。改めて温かい声援が送られた。

 両チームは勝ち点1を分け合い、町田は2位、アビスパが10位となった。まだまだシーズン序盤だが、昨季リーグ王者の神戸が18位、ルヴァンカップ王者の名古屋が19位に沈むなか、中位を保っているのは十分な結果だといえる。

 次節は水曜開催、4月2日のアウェー新潟戦。さらに今週末は4月6日、ホームでの浦和レッズ戦と連戦となる。ここで弾みをつけ、好調を維持していきたいところだ。

【深水央】

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