福岡大任町長選・現職6期目当選~長期政権でよいのか

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 任期満了にともなう大任町の町長選挙が30日、投開票され、現職の永原譲二氏が新人の前町議・次谷隆澄氏(いずれも無所属)を破り、6回目の当選をはたした。

 今回の選挙では5期20年の永原町政の評価と情報公開の在り方などが争点となった。永原氏は、選挙戦において「道の駅おおとう桜街道」の開設で町のにぎわいが創出されたことや小中学校の給食費無償化などの実績を強調し、町政の継続を訴えた。一方、次谷氏は、町の情報公開が不十分であるなど永原町政を批判、町政の刷新を訴えたがおよばなかった。

 告示日(25日)直前の22日には道の駅の隣の「ふれあい広場」内に、全天候型あそび場「こどもはうす」を開設。約1万8,000m2の敷地に遊具が設置された。また24日には田川地区8市町村で構成するごみ処理施設「さくら環境センター」の竣工式を行った。永原氏は環境センターの組合長であり、選挙戦においてこうした実績を最大限アピールした。なお、「こどもはうす」も環境センターも過疎地域の財源である「過疎債」が使われるため、地元の負担は軽減される。

 ゴミ処理施設の情報公開請求をめぐっては田川市の村上卓哉市長と大任町の永原町長が互いを刑事告訴・告発する(福岡地検は1月に双方を不起訴処分とした)など激しい政争が展開されてきた。

 大任町は、田川市に隣接し添田町や川崎町などと田川郡を構成する。かつては炭鉱で栄えたが閉山以降、人口減少が続き、25年3月時点で5,011人。近隣自治体と同じく高齢化も進んでおり、交通インフラの整備や定住促進が課題である。

 今回の町長選は、前回の投票率(74.25%)を約6ポイント上回る80.28%だった。23日投開票の福岡県知事選が31.58%であったように5割を切る地方選も少なくないなかでは極めて高い。投票に行かない人が多い都市部からすると羨ましい投票率だ。

 筑豊地域固有の事情があり、一面的な批判をするつもりはないが、永原氏の町政運営にさまざまな声があったなかで、6期目の継続を町民が認めたということは、長期政権の弊害を感じていないということなのか。県内の多くの自治体で首長の世代交代が進むなか、変化に背を向けているようにも映る。民意の結果ではあるが、長い目で見たときに今のままでよいのか疑問が残る選挙結果となった。

大任町長選挙結果
〇永原譲二、無所属、2431票、当選
〇次谷隆澄、無所属、814票

【近藤将勝】

関連キーワード

関連記事