2024年12月17日( 火 )

普天間飛行場の移設先は、安倍首相の地元「下関市長州出島」が最適~地政学的にも納得の場所と話題

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「在沖米軍は中国に対する抑止力」は妄想レベルのこじつけ

 24日の沖縄県民投票の結果を無視して、辺野古での新基地建設に突き進む安倍政権。政府は、普天間飛行場の移設先として「辺野古移転が唯一の解決策」と繰り返してきたものの、その根拠が明確に示されたことは、じつは1度もない。

 沖縄に米軍基地を集中させる根拠として民間レベルの議論でよく持ち出されるのは、中国の軍拡に対する「抑止力」になるとする説。しかし、こういった議論で語られる「抑止力」という言葉は、いまでは非現実的な「妄想」レベルのこじつけにすぎないことがわかっている。

 そもそも在沖米軍は米軍の世界戦略のなかに位置付けられており、日本を守るために駐留しているのではない。米軍が具体的に活動を想定しているのは西太平洋やインド洋などで、すでに1990年代初頭には米政府の高官が「沖縄の海兵隊駐留に戦略上の必要性はない」と分析していたことを認めている。

 さらに在沖海兵隊の大部分がグアムに移ることが決定しているいま、もはや海兵隊は抑止力としての戦力には到底足りないうえに、「抑止力として、なぜ自衛隊ではなく米軍基地が必要なのか」という根本的な疑問も解決しないままだ。

 在沖米軍を抑止力という文脈で語ること自体が差別的で、危険ですらある。基地の存在はすなわち仮想敵国にとっての攻撃対象でもあり、沖縄は再び本土の捨て石となる危険性と隣り合わせの日々を、戦後70年以上押し付けられてきたのだ。

普天間基地を安倍首相のお膝元、「長州出島」へ移設はいかが?

 政府が求める普天間飛行場移設先の代替案として、いまネット上で話題の場所がある。抑止力・基地機能として有効であるばかりでなく、現実的もある代替案……それは安倍首相の地元、山口県下関市の人工島、「長州出島」だ。

 長州出島は、下関市の西方約1キロの日本海上にある、完成面積約147haの人工島(辺野古の埋め立て面積は約160ha)。1995年度に第Ⅰ期整備工事が始まり、2009年3月から一部使用が始まっている。長州出島プロジェクトは、誰あろう安倍首相の父である安倍晋太郎氏(1991年没)の肝入りで始まった大型公共事業。例によってと言うべきか、約765億円が投入された巨大プロジェクトにもかかわらず、運用開始から10年たった現在も利用状況ははかばかしくない。にもかかわらず、クルーズ船を呼び込むためとする岸壁延伸工事や巨大アクセス道の整備などが進み、税金が吸い込まれるだけのブラックボックスと化しているのは、公共事業推進(バラマキ)の“先進地”山口県の面目躍如か。

 長州出島が普天間飛行場の移設先に推されているのは、なにも「安倍首相のお膝元だから」「辺野古の埋め立て面積とほぼ同じだから」という理由だけではない。人工島が作られた場所が、抑止力の置き場としてあまりにも絶妙なのだ。まず、海兵隊を輸送する強襲揚陸艦の母港である佐世保基地(米海軍)や海兵隊岩国基地も近く、長州出島に駐留すれば国内全域がオスプレイの作戦行動圏内に入る。中国や朝鮮半島有事に対応可能なだけでなく、ロシアに対する抑止力にもなりうる――中国脅威論を背景に米軍基地の沖縄固定化を主張する「にわか地政学論者」も納得せざるを得ない、1粒で2度も3度もおいしい圧巻の実効性を備えた移設候補地なのだ。

 もし普天間基地を長州出島に移設することができないとするのならば、政府は、そして安倍首相は沖縄県民が納得する反論を示すべきだろう。そう、こういった具合に。

安倍首相「基地が近くにあるのは危険だ。いつ事故が起きるかわからない」
(そうです。基地は危険なんです)
安倍首相「お金がかかるじゃないですか」
(辺野古での埋め立て費用は、沖縄県の試算では2兆5,500億円にのぼります)
安倍首相「山口県民を危険にさらすつもりですか」
(沖縄県民は70年以上、危険にさらされ続けてきました)

安倍首相「山口県民や下関市民が納得しない」
……ちょっと待ってください。24日の沖縄県民投票の結果、むろん、ご存知ですよね?

 

 

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