2024年11月24日( 日 )

劇団わらび座「北前ザンブリコ」大盛況~約800人の観客を魅了

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 劇団わらび座(秋田県、山川龍巳社長)は5日、アロクス福岡シンフォニーホールで「北前ザンブリコ」(主催:(株)データ・マックス)の公演を行った。同公演はデータ・マックスの青少年健全育成事業の一環として行われ、100社の企業が協賛した。老若男女を問わず、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層の約800人が会場に詰めかけ、日本第3位の観客動員数を誇るわらび座の人気がうかがえた。

 会場前では、開場1時間前から行列ができはじめ、予定を早めて開場。「学校が終わってから、走ってきました」と公演開始3分前に息を切らしながら入場する女子高校生もいた。

 わらび座は1951年2月、「いのちを愛し、人間の尊厳、いのちの美しさを描き、人々の心の糧、生きる力になる芸術活動のすすめる」ことを理念、目的として、民謡の宝庫ともいわれる秋田県仙北市で創立した。わらび座は同市を中心に全国で公演を行っており、民族芸能をベースに、多彩な表現で現代の心を描いたオリジナルミュージカルを上演、グループでの年間公演数は1,000回を超える。

 数々の作品を生み出してきた同劇団による今回の「北前ザンブリコ」は、江戸時代から明治初期にかけて国内の流通を支えていた北前船を舞台にした物語。主人公・喜一は北前船「夢千丸」の初航海に乗船した船乗りで「金さえあれば何でもできる」が口癖だった。物語の途中、夢千丸は大量の積荷を積んで出航するも渡航中に大嵐に巻き込まれる。壊れた船を修復するために寄港した港で、貧しい家庭で育ち、大金持ちになることに固執していた喜一が、さまざまな登場人物に出会うなかで迷い、大きな失敗のなかで「生きること」「命の尊さ」を学び、成長していくストーリーとなっている。

 ストーリーは当時の時代背景をバックに、明るく前向きな姿勢だけでなく、人生に降りかかってくる不幸、苦痛もストレートに観客に伝えており、会場には涙を流す観客もいた。ミュージカル特有のリズムとダンス、演奏で来場者たちを楽しませた。また喜劇を思わせる場面もあり、会場からは笑い声もあがった。

 創意工夫されたセットに加え、個性あふれる登場人物から発せられるメッセージは観客のこころに大いに響いたようだ。観客からは、「相当ハマった、次回もみたい」、「役者の劇に対する想いがしっかりと伝わって、とてもよい経験になった」、また、福岡大学演劇部からは「歌やストーリーが素敵で、外国が舞台のものだけではなく、和風ミュージカルもまた魅力的なものであることを強く感じた」との声も寄せられた。

 公演終了後に、演者がロビーで観客を見送った際には、多くの観客が演者との写真撮影や握手を求めるなど、公演終了後も賑わっていた。

【麓 由哉】

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