郷里の田畑に無数の太陽光パネル~バブル終焉でどうなる遊休地
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年に数度、四国の田舎に里帰りするが、帰るたびに太陽光パネルが増えているように感じる。小中学校時代の通学路は、まさに田園地帯で、農作業をする人の姿が見られた。あれから20数年、訪れるたびに減っていくその風景。離農から遊休地が増えていた。
ここ数年、その遊休地で目立つようになったのが、太陽光パネルだ。数分歩けば、また別の発電設備に出くわすほど、その数は多い。確かに土地を遊ばせていても、何にもならない。管理も大変だ。半年も放置すれば、雑草が生い茂る。土地を売ったり、貸したりすれば、いくらかのお金が生まれる。パネルと変電設備が仕事をしてくれるので維持もそれほどかからず、ヒトもいらない。
「先祖代々の土地を他人に譲ることはできない」――太陽光に限らず、不動産売買の話ではよく聞く話だ。しかし、2代目、3代目が相続した場合はそうでもない。相続人が遠方で生活しているような場合、先祖の土地にそれほどの愛着はないので「遊ばせるぐらいなら、有効活用したほうが良い」と手放すケースが増えている。
19年4月から、FITによる売電価格はさらに下がり、産業用では1kwhあたり14円になる。以前は売電価格が高く、急激に普及が進んだ。最近はパネルなどの資材が安くなり、売電価格が下がっても、利益率が維持できたが、業界関係者は「新規案件では、そろそろ限界点だ」という。
発電所に掲げられた標識には、発電事業者名が記載されているが、大阪や東京などの業者がほとんどで、地場の業者ではない。20年間の買い取りは電力会社に義務付けられているが、事業者が倒産してしまえば、残されるのはパネルだけとなる。
太陽光バブルが地方の活性化に一役買ったことは事実だが今後、そのようなケースは減っていくだろう。これまでは太陽光発電という使いみちのあった遊休地だが、今後は期待できなくなる。そうすれば、遊休地はまた増え続けることになる。太陽光バブル終焉後の農地活用法がほかに浮かばないという現実がここにある。
【東城 洋平】
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