『脊振の自然に魅せられて』キバナノアマナ(黄花の甘菜・ユリ科)
-
3月中ごろに咲き始め、春の花として細々と生き延びているユリ科の花があります。
名前は「キバナノアマナ」で渓谷沿いの湿気を好むようです。植物のなかでも特異なかたちをしています。花瓶に飾るフィリージアを細く小さくしたイメージを想像してみると良いでしょう。細く伸びた茎は柔らかく、空に向かって伸びておらず、ゆるく地面に伏せって、花が咲くころはいつも地面にお辞儀をしています。茎が柔らかすぎて立てないのです。
その先に黄色い小さなユリ科とわかる花を咲かせています。
この花の存在を知ったのは10年ほど前ですが、以前この周辺に多く自生していたそうです。私が会いに行った時は細々と生き延びている状態でした。
私を含めた花を愛する愛好家は、何とか足で踏まれないよう、この花を見つけると石で囲って来ました。この場所からさらに上部に1坪ほどの広さに自生しているのに遭遇し、石囲いをして私の花壇をつくりました。花の数は毎年、多かったり、少なかったりです。それでも「元気にしていますか」と声をかけに行きました。
こうした努力が報いられたのか、今年訪れてみると家族が増えて賑やかになっていました。山仲間は「花壇のようですね」と言いながら腰を屈めて撮影していました。「もっと大きな石で囲えばいいのに」との声もありました。
しかし、大きな石で囲うと風の流れに微妙に左右されると思っています。そっと囲うのが私流なのです。自然のままに生かしてあげたいのです。
「ほかにないかな」と、目を皿のようにして周囲を歩いていると、なんと種が飛んだのか、あまり人が来ないマイナーコースの登山道の左右にも若い茎が見つかりました。ここまで来れば絶滅することはないと安心しました。
メインの登山道にもキバナノアマナが一輪だけ咲いていました。ここまで種が飛んできたのでしょうか。そこに2、3個ほど石が置いてあり、「この花を踏まないでね」と登山者が花に愛情を注いでいました。
最近、SNSによる拡散の影響などで、この花の存在も知られるようになり、鑑賞に来る人が増えました。しかし荒らされてはいません、マナーが良くなってきたように感じます。
山野草のどの花も、そっと暖かく見守ってほしいものです。「行く春に 見初めし君は 露おびて 心和ます 黄花の甘菜」
2019年3月25日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行関連キーワード
関連記事
2024年11月20日 12:302024年11月11日 13:002024年11月1日 10:172024年11月22日 15:302024年11月21日 13:002024年11月14日 10:252024年11月18日 18:02
最近の人気記事
おすすめ記事
まちかど風景
- 優良企業を集めた求人サイト
-
Premium Search 求人を探す