来年創業130周年、熊本から福岡、そしてアジアへ 事業を支える4つの「柱」(後)
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(株)レイメイ藤井
レイメイ藤井代表取締役社長・藤井章生氏に聞く各事業の現況
レイメイ藤井 代表取締役社長 藤井 章生 氏
洋紙事業
国内の洋紙事業全体に言えることですが、赤字の会社が多いと言わざるを得ません。王子製紙もホールディングスとしては好調ですが、洋紙部門を担う王子製紙は不調です。
国内製紙各社は燃料価格や物流経費の高騰を理由に今年1月1日出荷分から印刷・情報用紙の値上げに踏み切りました。
海外企業にとって今の日本市場は魅力的とはいえません。安価な輸入紙もあまり入ってこない状況です。以前のように一度値上がりしても、輸入紙に対抗するためにすぐ値下げするという状況にはならないと考えられます。
そうした状況ですので、弊社の洋紙事業も決して好調とはいえません。しかし、そうは言っても紙の需要がゼロになるということはあり得ません。我々のような卸業も印刷会社も今は耐える時期だと考えています。しかし、ただ縮小均衡していたのでは、組織に活力がでません。いかに反撃に転じるか、その手段を私はもちろん、社員全員で考えていかなければならないと思っています。
BS事業部
オフィスの机や椅子などオフィス家具は好調で、他の部門のマイナス分をカバーしてくれています。現在、オフィス事情は両極化しており、働き方改革の一環としてオフィス内の設備に費用をかけている会社も増えてきていますし、レンタルオフィス、コワーキングスペースなどの需要も増加しています。
アクロス福岡(福岡市中央区)にもスタートアップ企業向けのレンタルオフィスがありますし、弊社創業の地、熊本にも増えてきているようで、稼働率は約7~8割と好調のようです。以前、中を見せてもらう機会があったのですが、2人向けの小規模なものから5~6人向けのものまで、それほど広くないスペースにそれぞれのニーズを満たすべく、さまざまな形態のオフィスが設置されていました。スタートアップ企業だけでなく、大企業の出先機関として考えても物理的に十分なスペースを確保できるのではないでしょうか。
福岡はこれからも博多駅周辺や天神などにオフィスが増えていくと考えられますが、九州のほかの地区は今後増えていくとは考えにくい状況です。今後は医療・福祉施設関係に力を入れていきたいと思っています。オフィス家具は先細りしていく傾向にあると思いますが、医療・福祉関係の需要はまだまだ伸びしろがあると思いますので、オカムラさん、コクヨさんなどとも連動していくつもりです。
OS・RS事業部
オフィスにコピー用紙やファイル、ハサミなどオフィス用品を卸すOS(オフィスサプライ)事業部、文房具店、量販店、書店などに文具を卸すRS(リテールサポート)事業部は残念ながら漸減傾向にあります。OS事業でいうとペーパーレス化にともない、コピー用紙、ハサミ、ホチキスなどの使われ方が一昔前とはずいぶん変わってきています。またオフィス通販などの「空中戦」の影響も受けていますし、ネット通販とも競合しなければなりません。BtoBとBtoCの線引きがなくなってきている状況で、弊社のような卸売業が今後どう立ち回っていくかを考えていかなければなりません。
ステイショナリー事業部
文具の製造・販売を行うステイショナリー事業部は利益率が高く、これまで増収増益を達成しており、売上は全体の11%ほどを占めています。
ステイショナリー事業は東京本社の商品企画室で商品の開発を行っています。この分野は、いかに顧客のニーズをくみ取り、いい商品を出せるかにかかっています。社内にもデザイナーがいますし、外部にも協業するデザイナーを抱えています。中国に協力工場がありますので、そちらで商品の製造を行っています。
毎年、女性向けのスポット商品を若手の女性デザイナーに企画してもらっています。デザインを毎年変えており、女性に好まれそうなカラフルな色合いの商品を多数企画・販売しています。
ステイショナリー事業部の本部を東京にしているのは、東急ハンズやロフト、イトヤ、書店だったら紀伊国屋、蔦屋などがお客さんですし、ネット通販のアマゾンにもメーカーとして入っているからです。
東京本社には文具メーカーとしての営業部隊がいます。九州でいう弊社のような会社が全国至るところにありますので、そちらに出向いて営業活動をしております。
レイメイ藤井の今と未来
―福岡進出のきっかけを教えてください
福岡の本社ビルが建ったのは1991(平成3)年、先々代社長である父の代のことです。その当時から父は「創業の地・熊本の土台をしっかり固めつつ、福岡で事業を伸ばしていこう」と言っていました。―昭和の終わりごろから福岡進出を考えていた?
福岡で「アジア太平洋博覧会」(通称:よかトピア)が開催されたのが1989年。そのころから福岡一極集中の兆しがありました。父には、「より紙・文具事務機の市場が大きいところで勝負しなければ」、という思いがあったのでしょう。バブルの恩恵を受けたこともあったと思いますが、ビル建設の借金を返すのに苦労したという話も聞いています。それでも福岡で「紙・文具といえば藤井」と胸をはれるようになりたいとの思いが強かったのだと思います。来年で創業130周年。私は七代目の社長です。ここまでバトンをつないでもらったので、自分の代で業績を縮小してしまうわけにはいきません。元号も変わることですし、心機一転がんばっていく所存です。
業界最大手の大塚商会はもともと、NECのパソコンやリコーのコピー機などを扱う、いわゆる普通の「事務機屋」さんでした。それがNECと組んでオフィスコンピューター部門で業容を大きく拡大させました。お手本というには規模が違い、おこがましいかもしれませんが、それが弊社の理想形だと思っています。
先日、私が副会長を務める福岡中小企業経営者協会で東京大学大学院⼯学系研究科特任准教授・松尾豊氏(現・同研究科教授)の講演会が開催されました。松尾氏はAIの世界ではパイオニア的存在の方です。その松尾氏が講演でAIの世界も日進月歩で、若い人が急速に成長しており、自分が取り残されてしまうのではと危機感があるとおっしゃっていて、若い人にバトンタッチを考えていると言っていました。まだ40代の松尾氏がそういうのです。弊社も若いパワーも借りながら来年の創業130周年はもちろん、その先の10年、20年へと力強く歩みを進めていきたいと考えています。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代表:藤井 章生
所在地:福岡市博多区古門戸町5-15(福岡本社)
創業:明治23年(1890年)
資本金:4億45万円
TEL:092-262-2222
URL:http://www.raymay.co.jp/<プロフィール>
藤井 章生(ふじい・あきお)
1966年5月30日生まれ。熊本市出身。
早稲田大商学部卒業後、旧日本長期信用銀行に入行。
西日本リース興発を経て2001年レイメイ藤井入社。04年専務、06年9月に7代目社長に就任。法人名
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