原子力規制委、テロ対策施設遅れの原発には停止命令~川内、玄海など再稼働済み9基が対象
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原子力規制委員会は、24日の定期委員会でテロ対策施設である「特定重大事故等対処施設」(以下特重施設)の建設期限が間に合わない原子力発電所に対しては、期限を超過すれば原発稼働の「基準不適合」にあたるとして停止させる方針を決定した。
もともと同施設の設置については原発本体の主要審査終了から5年以内との期限が設けられていた。しかし、17日に九州電力、関西電力、四国電力の計3社が、「完成が遅れつつある」ことから同施設設置の期限変更を同委員会に申し入れたため、定例委員会のなかで議論が交わされていた。
委員会内では、「個別の事情を聴取して判断すべき」という意見も出たが、社長名で電力各社から申請された書類のなかで完工予定が変更されていなかったことや、大きな災害など、事業者側がいう「状況変化」という言葉に相当する事案はなかったとして、5人の委員全員が期限を変更しないことで一致した。
更田豊志同規制委員長は24日の定例会見で電力会社各社が「状況変化」という言葉で説明したことを問題視し、「(17日に電力会社からの)出席者の1人が『見通しが甘かった』と述べたが、工事の見通しだけでなく規制当局の出方に対しても(見通しが)甘かったのではないかと私は思う」とその姿勢を批判。さらに、「『差し迫ってきて、(窮状を)訴えれば何とかなる』と思われたのならば、それは大間違いだ」と断じた。
また、会見のなかで、事業者側から代替案が出されれば協議するとしたものの、「現実的な代替案は、『(期限を迎える前に)今すぐ稼働を止める』ぐらいではないか」との見方も示した。
九電は、今回の協議の結果について、「特重施設の早期完成に向けて努力する」とコメント。しかし、現在稼働している同社保有の川内原発1,2号機では、同施設の設置工事がそれぞれ1年遅れる見通し。玄海原発3,4号機は3日に設置計画が認可されたばかりで、「遅れるかどうかもわからない」としている。
同社は過去に、停止した原発に代わって火力発電や他社からの電力購入で賄ったことでコストが増加。2012年3月期から4期連続の赤字を計上している。
【小栁 耕】
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