窮地のライジングゼファー~救世主現れるも今後も多難(1)
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ライジングゼファーフクオカ(株)
(公社)ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(JAPAN PROFESSIONAL BASKETBALL LEAGUE/通称:Bリーグ)の最高峰、B1西地区に属するライジングゼファー福岡(以下ゼファー)の2018~19シーズン戦績は7勝48敗だった。シーズンを通して低迷した戦績と同様に、球団経営も苦境に立たされていた。運営会社のライジングゼファーフクオカ (株)は1億8,000万円の資金ショートが表面化し、4月29日までに資金調達の見込みが明確にならなければ、最悪の状況として「リーグからの撤退」もあり得た。期限直前に、地元福岡に本社を置く健康補助食品製造・販売の(株)やずや、ペットフード販売を手がける(有)アカナファミリージャパン、そして個人投資家である皆木研二氏の資金援助により、ゼファーのBリーグ撤退は免れた。しかしチーム再建の道は、容易ではない。
リーグ撤退危機からの「逆転」残留
Bリーグの理事会は4月9日にクラブライセンスの判定結果を発表した。クラブライセンスとは、「(Bリーグに)出場するための資格となり、B1、B2リーグに参加できる資格となるB1ライセンスと、B2リーグに参加できるB2ライセンスの2種類があります。有効期間は対象シーズンの1年間。継続的にリーグ戦に参戦するには、毎年希望するシーズンの前年11月までに申請しライセンスの交付を受けることが条件となります。バスケットボール界全体の安定的・持続的な成長と発展に寄与することを前提とし、育成面・施設面・選手環境面などを、プロリーグとしてふさわしい水準に保ち、さらに発展させることによって、クラブの価値が向上することを目的としております」((Bリーグ公式HPより)と定められている。
しかし、9日に同理事会が下した判定結果はライジングゼファーフクオカにとって厳しいものだった。B1ライセンスは交付されず、B2ライセンス交付となり、さらにそのライセンスにも条件が付けられていたのだ。条件とは、「資金繰り基準の妥当性が判断できず、4月29日までの資金確保を停止条件とする」というもの。つまり、4月29日までに1億8,000万円を調達することがライセンス交付の条件で、資金調達が期限内に完了しなければ2019~20シーズンはB3の参戦、もしくはBリーグからの撤退という最悪の事態も想定された。
同日、ゼファー代表取締役社長・神田康範氏は、リーグ理事会の判定結果を受けて以下のような声明を発表した。
「本日のBリーグライセンス判定理事会で“停止条件付きB2ライセンス”という厳しい結果となりました。このような結果になってしまったのは代表である私の責任であり、B1ライセンス獲得を期待していただきご支援、応援いただいたブースターやボランティア、スポンサーの皆様、選手、スタッフなどかかわるすべてのステークホルダーの皆さまにお詫び申し上げます。
B1ライセンスを獲得すべくリーグから要求されていた書類、資金準備を進めておりました。しかし、確定していた資金の入金が期限までになされず、土壇場で条件をクリアできない状況に陥りました。その時点でB1ライセンスが非常に厳しい状況に陥りました。その影響もあり現在資金ショートがすでに発生しております。このような厳しい状況の中、リーグのお力添えもあり、停止条件付ではありますがB2ライセンスの交付をいただき、B2に降格はしてしまいますがライジングゼファーフクオカが生き残る可能性を残していただきました。
判定内容としては、4月29日までに今年度足りない資金である約1億8,000円を最低限集められないとB2ライセンスの交付も取り消しという厳しい内容です。具体的な資金調達方法としては、株の売却による資金確保がメインとなると思いますが、そのほか増資、借り入れなども同時並行で検討してまいります。チーム存続をかけて、本課題に取り組み、福岡の公共財となるチームを再度目指していけるよう全力を尽くす所存でございます」
神田社長が声明のなかで「確定していた資金の入金が期限までになされず……」と述べていた内容について、球団関係者は「決まっていたメインスポンサーからの資金調達が不調に終わった。つまり土壇場で梯子を外された」と語っている。
ゼファーは、Bリーグから公式試合安定開催融資制度に基づいた3,430万円の借り入れを実施。返済期日は5月13日で、履行できなかった場合は、翌シーズンのBリーグクラブライセンスを原則として取り消される。すなわち、B2はおろかB3での参戦も不可能となり、Bリーグからの撤退が避けられなくなったのだ。過去にゼファーは、幾度も経営難に陥り厳しい道のりを歩んできた。それでも、地元の福岡市民や経済界の支援を受けて乗り越え、ようやくプロバスケットボール球団として地盤ができつつあった。「球団フロントの方々はマメに企業を訪問され、一生懸命にPRしながらコミュニケーションをはかっていました。“地域に愛されるチームになります”という覚悟は伝わっていた」(福岡地場企業の幹部ら)という。しかし、そういった努力もむなしく崖っぷちに立たされたのだ。
ホームゲーム前にはターミナルや商業施設などを利用した街頭PRを積極的に行ってきた。2016年度には、人権擁護功労賞(法務省)を受賞、県内の各小中学校をまわって子ども達や指導者、保護者を対象にしたバスケットボール教室をシーズン中に100回も開催するなど、球団・スポンサーそしてブースター(熱狂的ファン)一体となった活動が、ゼファーを支えてきた。
(つづく)
【河原 清明】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:神田康範
所在地:福岡市博多区比恵町16-26
設 立:2007年5月
資本金:4,800万円
TEL:092-409-4887
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