【スクープ第3弾】「塩田大介」が福岡を拠点にねらう、企業主導型保育事業の闇(3)~存在しない建物に対して1億6,000万円の助成金申請
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■平然と法を破るインモラル(不道徳)な人間性のルーツ
前回(連載2回目)は、川﨑大資こと塩田大介氏が部下に対して平然と有印私文書偽造を指示する現場の生々しい音声を公開した。銀行から融資を引き出すためのノウハウとして「文書偽造」「印鑑偽造」という犯罪行為が当然のごとく選択肢にあること自体が驚きだが、こうした軽々と一線を飛び越える思考回路は一朝一夕に培われたものではない。
かつて塩田氏が会長を務めたマンションデベロッパー「ABCホーム」には、2017年に積水ハウスが東京・五反田の土地をめぐる架空取引で地面師グループ(不動産取引をターゲットにした詐欺師集団)に約63億円をだまし取られた事件に関与した男が在籍していた。主犯格とされる「カミンスカス操」被告(小山操または小山武/昨年12月にフィリピンで逮捕)は、ABCホームで財務部長などを務めていた時期があり、2008年に塩田氏が法人税法違反で逮捕された際には共に逮捕されて実刑判決を受けているのだ。
カミンスカス被告は当時会長だった塩田氏の指揮・監督下にあったとみるのが自然で、この頃にはすでに利益を出すためには法を破ることをいとわない塩田氏のインモラル(不道徳)な人間性が完成されていた。
結局、実際に脱税に手を染めたカミンスカス被告だけが実刑判決を受け、塩田氏は懲役2年の有罪判決を受けたものの執行猶予が付いたために塀の中に落ちることはなかった。このあたりの抜け目のなさは、前回記事で、印鑑偽造に直接手を染めた岡田賢介こと一山賢介氏や、金庫番を務める青木誠敏氏(全国子ども保育促進機構株式会社代表取締役社長)が塩田氏の身代わりとして法の裁きを受ける可能性を指摘した通りだ。
実際に手を汚すのはあくまで部下であり、塩田氏はその安心感ゆえか、表面上は優雅で豪勢な生活ぶりをインスタグラムで公開して悦に入っている。ちなみに、塩田氏のインスタグラムは第1回目記事の掲載後に非公開設定に変更されている。
■低レベルな偽造写真で助成金を申請
元ABCホームのカミンスカス操被告が主犯格とされる地面師グループは、積水ハウスから63億円をだまし取る際に大胆なしかけと緻密な小道具を用意して、資本金2000億円以上の大企業を手玉にとった。この時に地面師グループらが用いたのが、土地所有者に成りすました女性を登場させ、偽造印鑑登録証明書や偽造パスポートを用意するなど、いわば「大きな嘘」を信じさせるために「細部の嘘」を細かく積み上げていくやりかただ。地面師グループは登記簿や権利証などの偽造を専門に行うグループとも繋がっており、職人技ともいえる知識と技術をもとに偽造された証書類などは専門家でも見抜くのが難しいとされる。
しかし、塩田氏らが今回関わった助成金詐欺疑惑で使われた小道具は、大胆ではあるもののあまりにも稚拙でずさん、むしろ見抜けなかった児童育成協会や融資を決定した銀行側の責任を問われかねないほど低レベルなものだ。
添付写真の(A)は、某企業が福岡市南区で開設を予定しているKIDSLAND(キッズランド)系列の企業主導型保育所の助成金申請で提出された「外観図」だ。申請を担当したのはWINカンパニーの一山賢介氏で、申請データには「申請室部長」の肩書と名前が記されている。助成金申請はすでに終えており、受理されたうえで「申請中」段階にあることを児童育成協会も認めている。
今回、特別取材班の調べで、この申請に使われた添付写真の(A)が、できの悪い偽造写真であることがわかった。写真を見る限り、あたかも保育所として使うための工事が行われているかのように映るが、そもそも保育所開設地として申請された住所に建物は存在しない。
添付写真(B)は今年5月、取材班が現地を確認した際に撮影したもので、更地に雑草が生い茂り、建設予定地などの標識もない状態だった。つまり、添付写真(A)は助成金申請の対象となる保育所とはまったく別の場所に立つ建物の写真なのだ。
すなわち、WINカンパニーは存在しない建物についての工事費用などを助成金申請していることになる。工事費用として1億6,000万円を申請しているが、建物が存在しない以上、この数字の根拠もはなはだ怪しいと言わざるを得ない。
【特別取材班】
(つづく)関連キーワード
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