韓国の若者たちはなぜ子どもを産まないのか?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
筆者の記憶では、幼いころ、私の周りには平均すると5人兄弟の人が多かった。そこで韓国政府は人口増加を何とか抑えるため、その当時、低出産政策を打ち出していたことを覚えている。お祖母さんたちは"子どもは自分の食い扶持を自分でもって生まれるので子どもが多いことは良いことだ"とよく言っていた。しかし、時代は変わり、現在、韓国社会では低出産問題が大きな社会問題となっている。
低出産問題は韓国だけの問題ではない。世界的な趨勢でもある。先進国は1990年代の半ば以降、低出産問題に直面している。フランスの出産率は1994年1.66名、ドイツは1995年1.25名の最低出産率を記録した。韓国の最低出産率は2005年1.08名。10年間という時差はあるが、韓国も先進国と同じ轍を踏んでいる。すなわち、低出産問題は先進国になるために必ず経験する儀式のようなものなのだ。
しかし、韓国とほかの先進国との大きな違いが1つある。ほとんどの先進国は多少なりとも出産率がもち直した反面、韓国は出産率の低迷が続いていることだ。人口学者によると、1つの社会が人口を維持するためには、2.1名の出産率が必要になるという。韓国で現在のような低出産率が継続すれば、人口は減少を続け、極端な言い方をすると、国家が消滅するという恐ろしい事態になりかねない。低出産率問題はそれほど、深刻な問題である。今回なぜ韓国の若者たちはなぜ子どもを産まないのか、その原因を取り上げてみよう。
韓国政府もこのような状況を深刻に受け止め、いろいろな政策を打ち出している。低出産率を改善するため、韓国政府は13年間で143兆ウォンの予算を注ぎ込んでいるものの、効果はそれほど芳しくない。韓国の出産率は世界224カ国中、219位で、OECD加盟国のなかでも最下位となっている。ちなみに、米国は2.01名で、フランスは2.08名で、スウェーデンは1.91名である。韓国のように低出産率の国は日本、シンガポール、香港、台湾などで、アジアで経済発展を遂げた国である。
韓国政府はこのような状況を打開するため、低出産高齢化対策として「ブリッジプラン2020」を発表している。その計画によると、出産率は2020年には1.5名、 2030年には1.7名になることを目指している。結婚しても子どもを産まない理由を訊ねたところ、男性の46.2%は育児の費用を上げている。その次の理由としては教育費の負担(23.1%)、所得、雇用の不安(15.4%)、育児支援が足りない(11.5%)などの順番で回答が返ってきた。
一方、女性の場合には、育児の支援が足りない(39.2%)が1位となっている。その次に仕事と家事の両立が難しい(29.4%)、育児費用の負担(21.6%)などの回答になっている。
育児費用を稼ぐために仕事をしないといけないが、そのような環境が整っていないので、子どもを産むわけにはいかないという現実が表れている。また別のアンケート調査によると、結婚する前よりも結婚してからの方が子どもを産みたいという意欲が弱くなっているようだ。2017年の調査結果では結婚した人の59.8%が子どもをもちたいという回答であったのに対して、2018年の回答は22.6%減少した37.2%になっている。子どもを産まない理由としては教育費の負担が一位となっていた。
(つづく)
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