2024年11月30日( 土 )

地球温暖化で危機に瀕する種子バンク:切り札は遺伝子組み換え!?(後編)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年6月7日付の記事を紹介する。

 しかし、好事魔多し。人類の救世主となるはずのこの「種子バンク」は存在の危機に瀕している。この種子貯蔵庫が建設されたのはスピッツベルゲン島のスバルバルという場所。北極点から1100kmほどの距離にある。極寒の地であり、周りには誰も住んでいない。まさに氷に閉ざされた世界といえよう。島自体が永久凍土の一部を形成しており、マイナス18度が最適といわれる種子の保存にとっては理想的な環境と目されていた。

 たとえ、貯蔵庫内の冷凍システムが故障したような場合でも、永久凍土層に位置するため、気温がマイナス3.5度以上に上がる恐れはない。しかも、地震の恐れも皆無だ。その上、海抜130メートにあるため、グリーンランドや北極の氷床が溶けても施設が水没するような可能性は限りなくゼロに近い。

 そして、地下130mに完成した収蔵庫は鋼鉄で補強された厚み1mのコンクリート製の壁で覆われている。かつ4重の装甲・気密扉と電子キーで守られるという厳重さ。核攻撃を受けても大丈夫といわれるほどの堅固な作りが自慢であった。

 そこまで厳重な貯蔵施設は世界でも見当たらない。ところが、この人類の未来の生存に欠かせない「ノアの箱舟」に危機が迫っているのである。日本では全く関心の対象外となっているようだが、実に由々しい事態といえるだろう。なぜなら、地球上で最も安全なはずだった場所が、意外にももろいということが発覚したからだ。

 完成当時には、アメリカの有力雑誌「タイム」が「人類の歴史において6番目に位置する偉大な発明」と絶賛した種子バンクだった。それが、10年も経たずして、このままでは使い物にならないとの烙印を押され、抜本的な設計の見直しが必要となってしまった。とても人類の未来を託せる代物ではないことが判明した。ビル・ゲイツ氏はじめ関係者も真っ青であろう。

 その原因は想定外のスピードで進む地球温暖化である。その結果、頼みの綱であった「永久凍土そのもの」が溶けだしてしまった。これには関係者一同が茫然自失である。2018年の時点で、貯蔵庫の建物は健在ではあるが、周囲の氷が猛烈な勢いで溶け始めており、種子バンクが水没する恐れが現実のものになりつつある。既に貯蔵庫の入り口近くからは大量の水が浸入し、貴重な数百万種類の種子が台無しになるまで水が迫っている。

※続きは6月7日のメルマガ版「地球温暖化で危機に瀕する種子バンク:切り札は遺伝子組み換え!?(後編)」で。


著者:浜田和幸
【Blog】http://ameblo.jp/hamada-kazuyuki
【Homepage】http://www.hamadakazuyuki.com
【Facebook】https://www.facebook.com/Dr.hamadakazuyuki
【Twitter】https://twitter.com/hamada_kazuyuki

(前)

関連記事