2024年12月24日( 火 )

FIT見直しでどうなる再エネ 業界の声を拾う(1)

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 東日本大震災を契機に、再エネ事業に注目が集まり、国内では太陽光発電に多額の投資が集中した。太陽光発電の普及にともない、売電価格が下がり、FITの本来の目的である、再エネ普及には一定の効果があったといえる。ここにきて、政府が示したFIT見直しで今後の再エネ業界はどうなっていくのか。業界を取材した。

発電事業者は稼働急ぐ

 政府はFITを大幅に見直す方針であることを発表した。業界では、とくに大きな驚きはないようだ。以前よりその方向性で進んでおり、いつ正式に公表されるのかと予期していた業界関係者は多い。日本で普及した再エネの大半が太陽光発電によるもの。FIT法改正で事態が大きく動くのは太陽光発電に限られるという見方が強い。法改正がなされれば、現在のような売電はできなくなるため、発電事業者は期限までに駆け込むのは間違いないところだ。

 とくに注目されるのが、FIT導入直後に認定を受けた売電価格の高い案件だ。1kw30円から40円という高価格でいまだに未稼働である案件、いわゆる「塩漬け」案件は法改正で計画が白紙になる可能性がある。すでに未稼働案件においては、経産省が厳しい視線を送っており、期限までに着工できない場合は、認定時の売電価格ではなく、現在の売電価格が適用されるケースもある。1kw40円の権利をもちながらも、間に合わないとそれが10円台となり、採算は合わなくなる。権利をもつ事業者はどうしても着工までこぎつけたいと急ぐだろう。

本来目的から予想される新FIT

 実際はどうなのか。福岡市内のある太陽光発電事業者は「弊社も今期中に、現在保有している36円、32円案件の建設に向けて動いていて、自社発電所を約1MW作るところまで何とか辿り着こうと奔走しています。1MW持てれば、ある程度売電収入で固定費は賄えるので、今後は不動産業にシフトして行くしかないなと思っています。2020年3月31日まで、運転開始していない案件は、買取価格を下げられることになっているので、パネルや部材の確保と、施工業者の確保は進めていますが、本当に時間との勝負ですね。」と話す。残された時間はもう少ない。

 一方で長年、風力発電事業に携わっている業界関係者によると、FIT見直し後も太陽光発電以外は残る可能性が高いという。FITの本来の目的は、再エネを普及させるためであり、普及がまだまだ進んでいない風力発電、水力発電、バイオマス発電などを規制する意味はないという意見もある。たとえば、大型の風力発電所は計画から足掛け5.6年かかる。FIT開始から7年という時間経過からみれば、ようやく動き始めるタイミングにあり、そこでFIT自体がなくなることは考えにくい。そう考えると、現行FITから太陽光発電が外された新生FITで落ち着くのではないかという意見にも信憑性がある。

(つづく)
【東城 洋平】

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