2024年11月23日( 土 )

大和ハウスはなぜ、ガタガタになったのか 「中興の祖」樋口会長がつくり上げた企業風土(前)

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 大和ハウス工業は6月25日、大阪市で定時株主総会を開き、「中興の祖」と呼ばれた樋口武男会長(81)は、総会を最後に、代表権を返上し、最高経営責任者(CEO)を退任した。樋口会長は社長に就任した2001年4月以来、約18年間、トップを務めた。この間、1兆円だった売上高を4兆円超まで成長させたが、急成長のひずみが出た。

樋口会長の再任賛成率は80.81%

 大和ハウス工業は6月26日、臨時報告書を開示し、株主総会での取締役再任の賛成率を明らかにした。樋口武男会長の賛成率は80.81%。合格ラインの9割を大きく割り込み、極端に低かった。芳井敬一社長の賛成率も90.36%にとどまった。不祥事を起こした企業トップの取締役再任を認めない機関投資家が反対票を投じたようだ。

大和ハウスは今年に入り、不祥事が相次いだ。

 1月、元営業所長が取引先の太陽光発電関連会社から約4,000万円のリベートを受け取っていたことが発覚。3月には、中国・大連市の関連会社から約234億円の会社資金が不正に引き出されていた。

 4月、賃貸アパートと戸建住宅に防火基準を満たしていない不適切な物件が2000棟あると公表した。大和ハウスが再調査したところ、国から認定されていない基礎を使った不適切住宅が新たに約1900棟見つかった。

 つい最近でも、福岡県志免町の賃貸集合住宅で、住人の飲料などに用いる受水槽を協力会社の作業員が下着1枚で泳ぐ動画が発信されたことで、大和ハウスは謝罪した。

 ここにきて、なぜ、不祥事が一挙に噴き出してきたのか。

本社と現場の風通しが悪い企業風土

 大和ハウスは6月18日、不適切住宅問題に対する外部調査委員会の最終報告書を発表した。報告書は、事業所と本社のコミュニケーション不足により、制度の内容を周知徹底させる仕組みがつくれなかったと指摘した。

 2000年に改正建築基準法が施行され、事前に認定を受ければ一定の審査が省略される制度が始まった。建築現場で従来使ってきた基礎を新制度下で使うには、新たに型式の適合認定を申請する必要があるが、大和ハウスはそれを行っていなかった。現場では従来方式が使えなくなるとは想定もしていなかったと報告書は指摘した。

 25日の株主総会で、〈ある株主は、ずさんな管理体制について、「悪い情報が迅速に上層部に伝わる企業風土がないのでは」と批判した。〉(産経WEST電子版6月25日付)

 外部調査委員会と株主がともに指摘したのは、本社と現場との風通しの悪い企業風土だった。なぜ、意思疎通が図れなくなったのか。

(つづく)
【森村 和男】

(後)

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