日本の対韓輸出制限は韓国の半導体産業に大打撃(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
この分野では日本の東京応化工業、信越化学工業、JSR、住友化学、TOKなどが世界市場の90%以上を占めている。韓国も昨年輸入全体の91.9%を日本企業に頼っていた。数十回の露光工程があるなかで、10回中9回は、日本のレジストが使われ、残りの1回は韓国製が使われていることになる。
次は半導体用のフッ化水素である。フッ化水素は半導体の製造工程のなかで、ウェーハに回路パターンをつくるときに必要ではない部分を溶解浸食して除去するエッチングや、不純物を取り除く洗浄工程で使われる。フッ化水素は毒性や腐食性が強く、保管、管理が難しい材料である。
半導体用のフッ化水素は高い純度が必要とされるため、森田化学工業やステラケミファなどの日本企業の独壇場になっている。韓国企業の場合は低純度の製品を生産したり、または日本から低純度の製品を輸入し、それを高純度化して販売したりする。日本企業が高純度のフッ化水素の供給を中止すれば、韓国の半導体工場は稼働できなくなる可能性もあるという。韓国は日本から液体で輸入し、国内でガスに加工して使っている。昨年の輸入全体の43.9%を日本から輸入している。
最後にスマホの画面などに活用されるフッ化ポリイミドである。フッ化ポリイミドはスマホ、テレビ向けの有機EL、液晶ディプレイに使われる。液晶素子を固定する透明フィルムで、住友化学、宇部興産が世界需要の90%以上を供給している。韓国貿易協会によると、今年1~5月までの輸入で、日本からの輸入は93.7%を占めているといい、どれほど日本に依存しているかがよくわかる。この品目の輸出制限はディスプレイ業界に甚大な影響をおよぼすことになるだろう。
今回対象になった品目を詳しく見てきたが、そのほかに、素材は半導体工程においてどのような位置を占めているだろうか。半導体生産に活用されている数百種類の素材は、製造メーカーが違うだけで、微妙に性能が変わる。それで、同じ品目でも、違うブランドを選択するのはなかなか厳しい。素材を変えたら、全体の工程の微調整も必ず必要になってくるからだ。それに、半導体の工程は、数百の工程のなかで、1つの工程でも異常が発生すれば、ラインの稼働を中止せざるを得なくなる。
今回の輸出制限が実施されれば、早ければ今月末から工場の稼働中止が現実になるかもしれない。半導体工場は1時間くらい稼働中止しただけでも、1千億円規模の損失が発生するという。サムスン電子の半導体ラインがストップすることになったら、アップル、クアルコムなどの顧客は、台湾のTSMCに取引先を変更することが予想される。
このような日本の動きに対して韓国の産業通商資源省は1日、「世界貿易機関(WTO)への提訴を始め、国際法などに基づく必要な対応措置をとる」と反発した。その一方、素材および半導体装置の国産化を急いだり、別の調達先を探すなど、動きが活発になっている。しかし、日本の高い技術力を代替できるところがないのも現実なので、解決策が見い出せていない。専門家は両国政府は強硬な対決より、円満な解決策を模索するのがお互いにとって、賢明であると指摘している。
(了)
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