【未公開音声】WIN社・川﨑大資容疑者に手玉にとられた佐賀銀行~「担当者はオレ派」の意味は?
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■「騙しのプロ」が目をつけた九州地銀
横浜幸銀信用組合に対する融資詐欺容疑で逮捕された川﨑大資容疑者(51)は、「塩田大介」と名乗っていたABCホーム会長時代から、巧みな話術を用いた騙しのテクニックに長けていた。
巨額を投じ、政治家や芸能人を招いた豪華な結婚披露宴を開いたのも、その後のビジネスを見越した投資だと割り切っていたからに他ならない(ちなみに、秋元司内閣府副大臣も披露宴に出席している)。川﨑容疑者は、政治家との付き合いや華やかな人脈が人を騙すうえでどれだけ効果的か、熟知していたのだ。
川﨑容疑者を知る人の多くが、「彼は人を騙すプロ。素人ではまず太刀打ちできない」(福岡市内の企業経営者)と語る。ターゲットは素人だけにとどまらず、人を審査することも主要な業務である金融機関ですら例外ではなかった。川﨑容疑者は東京を離れて福岡に拠点を移したあと、九州における陥落しやすい「カモ」として、ある地方銀行に目を付けた。九州地銀18行のうち貸出金残高が8位(2019年3月期)の佐賀銀行(本店:佐賀市唐人)だ。
■狙われた佐賀銀行
川﨑容疑者の逮捕容疑は、2018年10月に、偽造した助成決定通知書を送るなどして横浜幸銀から約1億1000万円を騙し取ったとする融資詐欺。このとき偽造された助成決定書は、2018年7月に助成金申請を行った名古屋の保育園についてのものだった。
〈助成決定通知書が偽造された保育園〉
保育園名:「KIDSLAND金山崖レジデンス」(定員71人)
設置企業:保育士相談窓口株式会社
住 所:愛知県名古屋市熱田区新尾頭特別取材班の調べで、その同じ月、川﨑容疑者らが福岡市内の保育園についても助成金申請を行っていたことがわかった。設置企業も名古屋の園と同じ「保育士相談窓口株式会社」だった。
保育園名:「KIDSLAND平尾」(定員41人)
設置企業:保育士相談窓口株式会社
住 所:福岡市南区市崎「KIDSLAND金山崖レジデンス」では、偽造された助成決定通知書を担保として横浜幸銀が約1億1000万円の融資を決定したが、「KIDSLAND平尾」で横浜幸銀と同じ役回りを演じたとみられるのが佐賀銀行博多支店だ。特別取材班の調べで、同支店はWINカンパニーに対して約1億3000万円の融資を実行したことがわかっており、「KIDSLAND平尾」の開園予定地には昨年7月3日、佐賀銀行を根抵当権者として極度額2億4500万円の根抵当権が設定されている。
佐賀銀行は、福岡銀行など他行が川﨑容疑者からの融資依頼を門前払いするなか、なぜか積極的に関わりをもつようになっていったこともわかっている。他行が川﨑容疑者の信用情報について「要注意」「社長の名前が変更されている」などの情報を得ていたにも関わらず、佐賀銀行はなぜ一線を越えたのか。
そのヒントとなりそうな音声が残っている。この音声は、5月16日に配信した「印章偽造の生々しいやりとり」記事に掲載した音声の未公開部分で、川﨑容疑者が一山賢介容疑者(34)に児童育成協会の印章偽造を指示した部分の後段にあたる。
川﨑容疑者は横浜幸銀について「あそこがいちばん緩い」としたうえで、「今度は佐賀銀(佐賀銀行)。担当者が『オレ派』だから、別段さかよみすることはない」などと語り、融資実行について自信をのぞかせていることがわかる。
川﨑容疑者と一山容疑者の会話内容と、両容疑者の逮捕容疑などを合わせて考えれば、横浜幸銀だけでなく佐賀銀行の融資決定についても偽造された助成決定通知書が使われた可能性もある。しかし、佐賀銀行はこの件に関する取材をすべて拒否しているため、真相はいまもって闇の中だ(参考記事)。
特別取材班が接触した司法関係者によると、佐賀銀行はすでに東京地検特捜部の聴取を受けているという。
【特別取材班】
▼関連リンク
・【スクープ/音声公開】「塩田大介」が福岡を拠点にねらう、企業主導型保育事業の闇(2)~児童育成協会印の偽造を指示する生々しいやりとり
・【特報2】川﨑大資こと塩田大介氏の代理人弁護士がデータ・マックスに回答書で「警告」~横浜幸銀と佐賀銀行は不可解な「取材拒否」関連キーワード
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