『脊振の自然に魅せられて』「カマツカの花」バラ科の落葉低木
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皆さまはカマツカをご存知ですか。
「カマツカ?」そう鎌(カマ)の柄(ツカ)です。枝は太くありませんが、弾力があり、鎌の柄に使われました。
脊振の標高700m—800mの縦走路にカマツカが自生しています。低木のカマツカは5月下旬ごろに白くてかわいい花を咲かせます。丸い花弁は5枚で、梅ヶ枝餅のデザインに良く似ています。
昨年は見頃を逃し、鑑賞に訪れた時は、盛りの時期を2日ほど過ぎていました。盛りを過ぎると花びらが茶色に変色します。
今年、見頃の花に会いたいと思い、2回下見に行きました。「花の数、咲き具合はどうだろう」とまるで恋人に会うかのような気持ちでした。
後日、後輩Hと女性会員Sさんを誘い、3名でカマツカの花を鑑賞するために山を歩きました。
椎原登山口~矢筈峠~椎原峠のルートです。矢筈峠から歩いて10分のところに砂岩でできた広い広場があります。小さな松がたくさん生え、日本庭園の雰囲気をもっている場所です。その片隅に小さく白い花が咲いていました。
カマツカの花です。「おー、咲いとるバイ」と少し感動し、マクロレンズを付けたカメラを一脚に固定して至近距離で撮影開始。白い旬の花がレンズに飛び込んできます。
「きれいだ!」。少し風が吹いていたので、花が揺れていない一瞬を狙いシャッターを切ります。ワンゲルの後輩Hもカメラを向け、会員のSさんもスマートフォンで撮影していました。
「まだまだ、こんなもんじゃないよ」と私は2人に声をかけ、群生している場所を目指しました。
カマツカの群生地は、そこから10分ほど下った場所にあります。私たちは3人で登山道を連なり目的地へと向かいます。目的の場所のすぐ手前に絶滅危惧種のヒロハテンナンショウ(マムシグサの仲間)が咲いていました。今年はいつもより多く花を付けていました。2人に「これがヒロハテンナンショウだよ」と教えると珍しそうに屈んで花を覗き込んでいました。背丈50cmほどの植物で葉の下に花が咲いています。全体が薄緑色で、笹のなかに自生しているので見つけにくい植物でもあります。標高700m付近に咲く貴重な植物です。
この花の撮影を終え、1分も歩くとすばらしい展望がひらけてきます。ここに10年前、道標設置事業で道標(番号7)を立てています。道標越しに博多湾や福岡市街地の展望がひらけるすばらしい場所です。
ここにカマツカが自生しています。カマツカは雪で覆われたように全体が真っ白で、5、6本が風に吹かれ、白い花を揺らしていました。「すごかー!」と思わず声がでます。全体に白い花を付けているのを初めて見ました。
3人ともカマツカの撮影に夢中になります。私はミヤコザサを分け入り、カマツカに近づきカメラを向けます。風が花を揺らしています、風がやむ一瞬を狙ってシャッターを切ります。ファインダーごしに博多湾がカマツカの花の後ろに写り込んでいました。
撮影が一段落し、ここで休憩しました。カマツカの花見です。3人ともそれぞれ携帯食を口にしました。
「あー水を忘れた」と私。Sさんが「これでよければ」と2本持ってきていたスポーツドリンクの1本を手渡してくれました。
加齢とともに忘れものが多くなってきています。「水を忘れるとは山男にあらず」。反省の時間でした。
100m右手の上方を見上げると大きなカマツカが2本ありました。このカマツカも全体が真っ白でした。
カマツカの花の見頃は3日ほどで、ほかの樹木の花と比べて見頃は短いです。一週間ほどの見頃は普通ですが、きれいなカマツカの花に遭遇できるのは幸運だといえます。
3人ともカマツカの花に満足した山旅となりました。今年はハイノキの花もカマツカの花もたくさん咲いてくれました。山歩きの醍醐味は花を愛でることにあると思うようになりました。
5月、6月に白い花が咲く樹木は、秋には赤い実をつけます。カマツカもその1つです。
私の写真集「脊振讃歌」、カマツカの実の1枚は秋の趣のある写真です。秋に赤い実をつけたカマツカに会いに行くのを楽しみにしています。
2019年7月25日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行関連キーワード
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