AIで市場拡大へ 音声認識市場をつくったアドバンスト・メディア~話した声を文字にする音声認識、AI活用で高度・高精度に(2)
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(株)アドバンスト・メディア 代表取締役会長兼社長 鈴木 清幸 氏
音声認識市場をどうつくってきたのか
音声認識の市場をつくるにあたって、まず使いやすいように音声認識の技術を開発した。人工知能(AI)を取り入れることで、音声認識の技術はかなり進化してきた。
次に、顧客の目線を大切にして、便利で使いやすいサービスを生み出してきた。たとえば、性能の良いエンジンをつくっても、運転しやすい車ができなければ、多くの人に使われる技術にはならない。音声認識という新しい技術を、どのようなかたちのサービスとして提供するかということに注目して取り組んできた。
そして一番大切なのは、顧客が興味をもつことだ。創業当時の22年前は、音声認識にほとんどの人が興味をもっておらず、技術の認知度も低かった。そのため、まず音声認識を知ってもらい、そして、興味をもってもらうという「音声認識の文化づくり」に向けたさまざまな活動を行った。
しかし、世の中に大きなインパクトがあったのは、09年にGoogleの日本語版の音声検索が登場したことだ。彼らの登場によりキー入力の代わりに、話して検索ができる音声認識に、世の中の人が興味をもち始めた。その後、声で検索や操作ができるiPhoneの音声アシスタントのSiriが登場して、多くの人が音声認識を身近な技術と感じるようになった。
さらに13年からの第3次AIブームを引き起こした、ディープニューラルネットワーク(DNN)が音声認識に対する興味をさらに掻き立てた。大量のデータを使って自己進化するDNNの音声認識への実装により音声認識の精度が格段に高まったからだ。
最先端の技術を世の中に広める
最先端の技術を世の中に普及させるにはそれを利用したアプリをキャズム理論(ジェフリー・ムーア)でいう「イノベータ」や「アーリー・アドプター」に売ることが第一段階だ。そして、次のアーリーマジョリティに訴求する製品に仕上げて、まず、使っていただくことから始まる。
一般的に、ビジネスは販売することが大切と考えられており、販売する能力が高い人に売ってもらうことが重要だとされてきた。しかし、それは市場ができてからの話であり、音声認識システムやアプリとサービスのように市場がない状況では過去に実績のある販売力は無力であり、かえって、邪魔とさえいえる。
アーリーマジョリティが使い続けることこそが技術を世の中に広める出発点である。
病院の画像診断や薬局の薬歴記録を効率化
02年から取り組んできたのが、医療の放射線画像診断の結果を診断レポートに入力する音声認識アプリだ。アドバンスト・メディアのビジネスは、ここから始まったともいえる。CT、MRI、レントゲン写真などの放射線画像の診断をするときは、画像を見ながらドクターが判断してレポートを作成する。だが、パソコンのキーボード入力では時間がかかってしまう。声により98%以上の認識精度で入力できるため、作業がスムーズになり効率化された。今では、1,262施設で使われているという。
また調剤薬局では、調剤報酬の加算ポイントとして、調剤や薬の飲み方の説明などの「服薬指導」を記録することが義務付けられており、効率よく記録できるように音声認識を役立てている。
(つづく)
【石井 ゆかり】<COMPANY INFORMATION>
代 表:鈴木 清幸
所在地:東京都豊島区東池袋3-1-1
設 立:1997年12月
資本金:68億6,841万円
売上高:(19/3連結)42億5,619万円関連記事
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