2024年11月23日( 土 )

『脊振の自然に魅せられて』~不法投棄ゴミ処理大作戦(後)

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滑車を使ってゴミを引き上げる

 農作業になれた人たちが草刈機で現場入口の笹を刈り始めました。大量のゴミを発見した3月末とは違い、笹藪に覆われ、上部から覗いてもゴミが分からない程になっていたのです。

 伸縮自在のアルミのハシゴが掛けられ、現場に降りる人たち。崖下に降りてゴミを拾うもの、引き上げるもの、それそれが自主的に仕事を分担していました。

 山のベテラン、「脊振の自然を愛する会」副代表のHが手早く50mのザイルを垂らし、それに滑車を取り付けました。

 最初に絨毯が引き上げられ、続いて自動車のタイヤが続きます。ゴミの種類は多岐にわたり、絨毯やタイヤに続き、テレビ、瓶、空き缶、人形、エアコンのホースなどが散乱し、半分は地面に埋もれていました。ゴミが捨てられて10年は経過していたように思われました。

 土嚢袋はすぐにいっぱいとなりました。土嚢袋の重量を考慮し、8分目にして引き上げます。先輩Hがセットした滑車により次々と土嚢袋が引き上げられます。

 熱中症予防のため40分ほど作業を行ったところで、休憩をとります。夏場なので保冷庫に麦茶、スポーツドリンク、蛇口がついた大きな水筒も用意されており、冷たい麦茶が、汗ばんだ体をひやしてくれました。

 腰を下ろして休む者、おいしそうにお茶を飲む者、休憩の仕方はそれぞれでした。

 休憩も終わり作業再開、手際よく作業を続けます。引き上げられたゴミを区役所職員が分別。またホウキも持参し、小さなゴミをかき集め、きれいに片付けます。引きあげられた土嚢袋は最終的に20袋ほどになっていました。

ゴミの分別

 午前9時から始めた作業は、予定より早い午前10時30分に終了しました。

 人界戦術と、「山をきれいにしたい」と願う地元の人たちの参加もあり、短時間で終了することができたのです。

 現場は標高900m近いので、平地と比べ気温が5度ほど低かったのですが、それでも体中から汗が噴き出していました。

 「福岡市立背振少年自然の家」の近藤所長からは「脊振では毎日豪雨があっているので気をつけてください」と一報をいただいていたが、雨の心配がない天気でした。

 作業が終わり、土嚢袋をバックに記念撮影、用意した幟が役に立ちました。参加者には、帰りに「JAワッキーで鶏飯弁当を受け取ってください」と伝えました。今年6月にJA福岡市から活動資金をいただいたので、それを活用したのです。

 私を含む「脊振の自然を愛する会」のメンバーは作業終了後、希少植物のオニコナスビの鑑賞に出かけました。

 脊振山直下の東屋で休憩します。脊振山から吹き下ろす涼しい風が汗ばんだ体を冷やしてくれました。ひんやりとした静けさの中、ヒグラシの甲高い声がしていました。我々はゴミ処理を終えた満足感に浸りつつ、JAワッキー名物の鶏握り飯を頬張りました。

 そして矢筈峠へと向かい、希少植物のオニコナスビの鑑賞を堪能しました。帰りに現場を通ると土嚢袋は何事もなかったかのようにきれいに片付いていました。

 ゴミ処理に参加された早良区役所、脇山自治会、脊振の自然を愛する会、環境省福岡事務所の方々に、お礼を申し上げます。

また、今回は仕事の都合で参加できなかった福岡市立背振少年自然の家、航空自衛隊背振基地の方々にも感謝申し上げます。

参加者の集合写真

(この項、了)
2019年8月6日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

(前)

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