2024年12月24日( 火 )

九州地銀(18行)の20年3月期(19年6月期)決算を検証する (5)

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 【表1】を見ていだきたい。九州地銀の純資産残高順位表である。

(1)九州地銀(18行)の19年6月期の純資産残高順位表

九州地銀(18行)の19年6月期の純資産残高順位表
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~この表から見えるもの~

 九州地銀18行の19年6月期の純資産残高は、前期比+26億円の2兆9,966億円(前期比(0.09%増)の微増となっている。

・純資産残高1位は福岡銀行で前期比▲61億円の6,639億円(▲0.91%)。繰延ヘッジ損益▲62億円などによる。シェアは22.2%。

・2位は西日本シティ銀行で前期比▲25億円の5,062億円(▲0.49%)。その他有価証券評価差額金▲25億円などによる。シェアは16.9%。

・3位は鹿児島銀行で前期比+4億円の3,249億円(0.12%増)。シェアは10.8%。

・4位は肥後銀行で前期比+26億円の3,140億円(0.83%増)。シェアは10.5%で、この上位4行で60.4%のシェアを占めている。

・5位は大分銀行で前期比20億円の2,039億円(0.99%増)。シェアは6.8%。

・6位は十八銀行で前期比+103億円の1,725億円(6.35%増)。以下、宮崎銀行、親和銀行、佐賀銀行、10位の北九州銀行までの5行が純資産、1,000億円以上の銀行。

・11位は熊本銀行で前期比+3億円の912億円(0.33%増)。以下、宮崎太陽銀行、南日本銀行、筑邦銀行、15位の豊和銀行まで5行が、純資産残高300億円以上の銀行。

・16位の福岡中央銀行は前期比▲7億円の270億円(▲2.53%)。ふくおかFGの傘下銀行ではないが、歴代頭取は福岡銀行出身者が就任している。

・17位の長崎銀行は前期比▲4,500万円(表内ではマイナス0億円と表示)の149億円(▲0.27%)。西日本FHの傘下銀行。

・18位の佐賀共栄銀行は前期比▲1億円の142億円(▲0.7%)。単独行で厳しい経営状況にある。

(2)九州に本社を置く金融グループの19年6月期の純資産残高順位表

 金融グループのトップはふくおかFGで、19年4月に十八銀行と経営統合したため、前期比+1,613億円の9,386億円(前期比20.75%増)と大幅に増加している。九州FGは前期比+22億円の6,545億(0.34%増)。3位は西日本FHで前期比▲5億円の5,092億円(▲0.10%)。

・ふくおかFGのシェアは44.6%、九州FGは31.1%、西日本FHは24.2%となっており、ふくおかFGが圧倒的に優位の座を占めている。

 【表2】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の自己資本比率順位表である。

九州に本社を置く金融グループの19年6月期の純資産残高順位表
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~この表から見えるもの~

 19年6月期の自己資本比率を公表している銀行は14行。15位から18位の佐賀銀行、佐賀共栄銀行、筑邦銀行、福岡中央銀行の4行は、19年6月期の自己資本比率を公表していない。

・1位はふくおかFGと経営統合した十八銀行で11.43%(前期比0.17%増)。経営統合前の19年3月期も11.26%で、トップの座を守っている。

・2位は北九州銀行で11.26%(前期比0.11%増)。十八銀行とともに11%以上となっている。

・3位は肥後銀行で10.86%(前期比0.13%増)。4位は鹿児島銀行で10.53%(前期比0.18%増)。九州FG傘下の2行が10%以上となっているが、5位の大分銀行が10.15%(前期比0.18%増)と10%台に回復。6位の親和銀行も10.11%(前期比0.15%増)となり、10%台の銀行は4行となった。

・7位の宮崎太陽銀行は9.96%(前期比0.13%増)。熊本銀行、西日本シティ銀行、10位の福岡銀行までの4行が9%台。

・11位の豊和銀行、長崎銀行、宮崎銀行、14位の南日本銀行の4行が8%台となっている。

<まとめ>

 日銀の進めるマイナス金利政策の影響は大きく、19年6月期の純資産が19年3月期より増加している銀行は8行で、減少している銀行は10行。純資産が増加している銀行も微増となっており、厳しい経営状況は今後も続くものと予想される。

 また収益が減少するなか、自己資本比率を高めることも難しくなっている。19年6月期の自己資本比率を公表していない銀行の19年3月期の自己資本比率を見ると、15位の佐賀銀行は8.15%。16位の佐賀共栄銀行は8.13%。17位の筑邦銀行は7.34%。18位の福岡中央銀行は7.02%となっており、6月期の自己資本比率が3月期よりも下がっているため、「公表できない」というのが真相ではないだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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