2024年09月30日( 月 )

自主性の組織で会員増加 年代の幅広さが強み(後)

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(一社)福岡中小企業経営者協会 会長 山口 秀範 氏

山口 秀範 会長

<プロフィール>
山口 秀範(やまぐち・ひでのり)

 福岡中小企業経営者協会会長。1948年10月5日生まれ。福岡県立修猷館高校、早稲田大学政治学部を卒業。大成建設(株)を経て2005年に(株)寺子屋モデルを創立し、代表取締役に就任。11年から現任。

 

経営者を縛らないあり方

 ――特徴ある活動はどんなことですか。

 山口 会長就任のきっかけだった東日本大震災、その記憶を風化させることのないようにと被災地慰問を毎年続けてきました。昨年3月11日、石巻市主催の慰霊祭に会員の皆さまとともに参列して一区切りかと。身近な九州でも自然災害が相次ぎ、私たちにできることを継続しています。

 皇居勤労奉仕は8年目で、平日4日間連続にもかかわらず年々参加者が増えています。リアルアジアの視察旅行も定例化しています。最先端の経営手法やテクノロジーの紹介にも注力しており、「AI化やIoTから古典・歴史まで学べる」が中経協の魅力と自負しています。

 さらに、会員企業の成長発展が我々の願いでもあり、ビジネスマッチングや人材交流、相互研修などの事例も出てきており、今後この面も充実させたいと期待しています。

 ――地域への貢献についてはいかがでしょうか。

 山口 「次世代の育成支援」に的を絞って、国や自治体からの受託事業に積極的に取り組んでいます。大学生の就活支援にも単に就職先の紹介ではなく、社会人としての自立の心構えを促すことに重点を置いています。

 福岡市内の全中学校対象に行っているチャレンジマインド醸成の出前授業は、若き起業家である会員諸氏が献身的に参画してくれます。中学生と向き合って自らのチャレンジ経験を語り、それに対して少年たちの目が輝き出すのは、鳥肌が立つほどの手応えだと進んで登壇してもらっています。

 受託事業が会の財政に資する点も見逃せませんが、会員を元気にして、郷土の将来にお役に立っているという実感が何より大切です。

年代の幅広さが「良さ」

 ――16年4月から事務局を現在のエルガーラビルに移しています。以前と比べると、雰囲気が良くなったように感じます。

 山口 それまでは福岡商工会議所に間借りしており、雑然としたなかで仕事をしていました。しかし、現在地に移転して、事務局スタッフも「中経協のために仕事をしている」という意識が高まったように感じます。会員企業からは会議室の無料貸し出しも好評です。

 ――現在は「メガベンチャーの創出」を目標に掲げています。これはどういった思いから始まったのでしょうか。

 山口 5年後には中経協が設立50年の節目を迎えます。その時に中経協は何をしているだろうかと考えたのです。どんなに考えても正解は出てきませんが、それでも目標は必要です。その時に若い会員から、「我々の仲間からメガベンチャー/ユニコーン企業を誕生させよう!」というアイデアが出てきた。これには非常にわくわくさせられましたから、ぜひこれでやっていこう、皆で勉強していこうと決めたわけです。

 ――会員には若手の方も多いように思います。

 山口 この会に参加して、私自身も若手の経営者と知り合えたことは貴重でした。同様のことは、若手の経営者にもいえるのではないでしょうか。同年代とは知り合えても、なかなか先輩の経営者と知遇に得ることはありませんから。毎月早朝の吉田松陰を読む会も老若男女の参加で好評です。「経営者同士の勉強会があるから参加していますよ!」といってくれる会員もいます。

(つづく)
【文・構成:小栁 耕】

(前)

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