2024年12月26日( 木 )

400超の会員をもつ経営者団体 地域視点と仲間意識育む

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(一社)福岡中小企業経営者協会

 経営者団体として2019年7月末時点で405社の会員数を誇る福岡県中小企業経営者協会(中経協)。会員はそれぞれ委員会に所属し活動に励んでいる。会員には福岡屈指の老舗企業の経営者から新進企業の若手経営者までが所属している。同団体の活動は、会員の自発的な取り組みや事務局の移転で活発化している。現在は社会貢献に資する事業を行政から補助、受託しており、経営者にとって幅広い活動を行っている。

経営者のクラブ活動

 福岡中小企業経営者協会(中経協)は、1974年に設立された経済団体。会員は企業の代表取締役や幹部など実際に経営の現場に立っている人々だ。経営者同士の交流による人脈構築と商機の拡大、実際の経営に反映できるスキルの共有を事業の柱に据えている。それらの事業の中核を担うのが同団体を構成する各委員会となる。

 現在は9つの委員会が発足し、それぞれ20以上の会員が所属する。それ以外にも勉強会や交流会を行っているが、そのなかには古典の勉強会など教養的なものもある。会員である経営者がそれぞれ時間を捻出して活動に参加しており、取り扱う内容も「ITから歴史まで」と幅広い。

 会員が評するには、「経営者のクラブ活動」だそうだが、まったくその通りだ。

定例会を委員会の輪番制で

例会
例会

 中経協では月に1度、定例会を開催しており、その運営はもち回りで各委員会が主催することになっている。どのような内容にするかは各委員会で協議するのだが、祝賀会や納涼会といったパーティーのほかに講演会なども催している。アリババ(株)CEOの香山誠氏に講演を依頼し、アリババグループが中国本国で進めているデジタル化について語ってもらうなど、内容も本格的だ。

 これら講演会も会員にとっては良い刺激だ。中経協の副会長を務める藤井章生氏((株)レイメイ藤井代表取締役社長)は、弊社インタビューのなかで中経協が主催した松尾豊・東京大学教授の講演会について、「普段の業務のなかで出会うことのない人と知り合い、考えを聞くことは経営に生きてくるのではないだろうか」と触れていた。

納涼例会
納涼例会

収益性と社会貢献の受託事業

 同団体の運営費は主として各会員からの会費に依っているが、近年は行政から補助、あるいは委託された事業も手がけている。これらの事業は無作為に受けているわけではなく、会員が受けたいと思うか、また社会貢献のなかでも青少年に資するものかという2点を基準としている。

 福岡市から受託した「チャレンジマインド育成事業」や経産省からの「キャリアデザインプログラム」など、参加者に学生が含まれる事業がそれにあたる。前者は中学生向けに出前授業を開く内容で、子どもたちが非常に興味をもって話を聞くという。後者は社会人・学生などの若者たちを対象とし、東京から学生を呼ぶものもあるという。この活動を通して就職活動を福岡でやってみようと思う学生もいるという。

創立50年に向けて

 中経協のなかでは現在、メガベンチャー創出という共通の目標をもって勉強会をしているグループがある。勉強会のなかでは新しい成長モデルを模索しているという。この目標を掲げたのは24年に同団体が設立50年を迎えるにあたり、さらに50年経った後の団体のあるべき姿を問うところから導き出したものだという。チャレンジに意味を見出し、これまでとは異なる経済団体を目指す。その決意がこの事業には込められている。

【小栁 耕】

会員インタビュー

経営スキル委員会委員長 森 俊英 氏
(グローバルブレインズ(株) 代表取締役社長)

 ――経営スキル委員会での活動を教えてください。

 森 委員会の委員長は中経協の理事クラスの人間が務めます。私は理事になって5年目になりますが、昨年まではビジネス拡大委員会の委員長を務めていました。委員会の運営は理事によってさまざまで、本格的に経営論を学ぶといった活動をなさる方もいますが、私はIT企業の経営者ですので、デジタルトランスフォーメーションについて皆で学んでいこうと考えています。

 ――前年まで携わっていたビジネス拡大委員会ではどのような取り組みをされていましたか。

 森 前委員会でも同じようにIT関係の勉強会をしていました。名前通りにビジネス・マッチングをやってみると、IT化を考えていらっしゃることが多く、それならば実際に事業にITを取り入れてみましょうよ、と活動しました。

 8年ほど前は「これからはITが大事ですよ」と言っても、ほかの経営者の方からは、「ようわからんから」と返されることが多かったのですが、最近はずいぶん変わりました。

 ――委員会は月に一度の中経協の例会を輪番制で主催しています。

 森 経営スキル委員会は今年9月がまさにその番で、桐蔭学園理事長・溝上慎一氏を呼んでアクティブラーニングについて講演していただきます。経営者・企業にとって人材育成は常に付きまとう問題ですから、これも経営のヒントになると思ったのです。

 ――ありがとうございました。

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