9万人の救世主となるか~女性の復職サポート会社
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■女性の職場復帰における理想と現実
結婚、妊娠、出産とライフステージが変わるタイミングで離職する女性は以前より減ってはいるものの、第1子の出産を機に4割強が離職(国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査(夫婦調査)」/2016年)と、まだまだ多いのが現状だ。実際、就労希望があるけれども、求職活動をしていない育児期女性の数は、福岡県では4万人、九州では9万人にのぼるという。(2017年就業構造基本調査/総務省)
ライフステージが変わった女性の職場復帰は、想像以上に難しい。たとえば、子どもが生まれることによって環境や求める労働条件などが変わる見えやすい変化に加え、長期間現場を離れることで自信を失い、再就職する気力すらなくしてしまう女性が多いためだ。
どうすれば女性のスムーズな職場復帰を実現できるのか。二の足を踏む女性たちを支援・サポートするため、講座やイベントを開催している会社がWork Step(株)だ。2012年に田中彩さんがNPO法人ママワーク研究所として立ち上げ、人材マッチングにも関わりたいと株式会社化した。
田中さんはベンチャー企業で総務部長を務めていたバリキャリ(バリバリのキャリア女性)だったが、出産を機に退職。子育てをしながら、産業カウンセラー、社会保険労務士、簿記や秘書検定などの資格を取得した。
しばらく子育てに専念した後に職場復帰したが、子育てと仕事の両立は難しく、体調を崩したためにやむなく退職。悩んだ末に、「同じような悩みを持つ女性がいるのでは」と、子育て中の友人たちにアンケートを取ってみた。すると、退職前に培った能力やスキルを生かせないでいる復職希望者が半数以上もいることがわかったのだ。こうした女性たちと職場復帰における「現実」のミスマッチを解消するために設立したのがママワーク研究所だった。
■ユニークなネーミング戦略~「ママドラフト会議」
最初に取り組んだのは、仕事を希望する女性への情報提供と自信を回復するための支援だった。Work Stepの支援で特徴的なのは、働く側(女性)だけでなく雇う側(企業)にも積極的にアプローチしたことだ。たとえば「御社にぴったりの人材がいるが、『週3出勤』『短時間正社員』でないと継続して就労することが難しい。何とか対応していただけないか」と打診する。いわば「スキルと経験をもった優秀な人材」と、企業とのマッチングで、眠っている人材の掘り起こしは、人口減少が確実な日本において今後も需要が拡大するとみられている。
「ママドラフト会議」「ママボランチ」など、ユニークなネーミングが多いのも、戦略的な取り組みだ。女性の職場復帰には男性の協力が必要なため、もっと興味をもってもらおうと、男性メンバーも交えて知恵を絞り野球やサッカー用語からヒントを得た。
NPO法人として取り組んだネーミング戦略・草の根ネットワークのベースを生かした、こうした取り組みは注目を集めており、メディアで取り上げられることも増えてきた。9月には地上波とBSで同社が紹介される予定だ。
【鍬原 幸恵】
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・テレビ東京 チェンジ・ザ・ワールド―未来を築く志―「子育て中のママの就職支援」 2019年9月15日(日) 17時15分~17時20分関連記事
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