2024年12月22日( 日 )

【政界インサイダー情報】長崎、IRの土地建物売買に205億円??

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

 前回は、北九州市のIR誘致について諸々記述したが、今回は長崎についても具体的に触れてみる。ともに「税金の無駄使い」であることに変わりない。

 先日(9月13日)、佐世保市は同市議会にハウステンボス(株)との土地建物売却予約契約案205億円を提出した。当然ながら、予約契約なので、この先、IR誘致成功の場合を想定しての行動である。

 創業者である神近氏から始まり、2010年3月に現在のHIS澤田氏が継承するまでのHTB(ハウステンボス)の紆余曲折と三度に渡る閉園危機については既報の通り。

 また、ここ3年は一時的に回復していた集客数も毎年減少に転じている(当初開業時のみは年間350万人、その後激減、HIS継承後は300万人超まで回復していたが…)。

 IR候補地である佐世保市の人口が約25万人、長崎県は約132万人、佐賀県約80万人という後背地人口でありながら、佐世保市作成のIR計画(御用業者作成)は、毎年年間700万人を集客するというあり得ないものになっている。

 また九州最大の都市である福岡市都市圏からはJRで約2時間、長崎市からは1時間、車でも同様な距離感である。JRは単線であり、各交通インフラは不十分である!

 管轄行政主導のもとの計画など、信用する者などいるはずもなく、もっともらしく説明はしているが、この700万人という数字は誰がみても感覚的にあり得ない、無茶苦茶な数値計画である。

 従って、彼らは計画の主体をほぼ観光客対象としているのだが、昨今の「日韓関係の悪化」からもわかるように、一番多い韓国からの観光客が急激に減少しているのが現状であり、一切当てにならない。

 さらに、朝長佐世保市長は、今年6月の時点で、後に安倍政権によるIR施設規模の制限施工令(MICE型)に対して、「中核施設の規模等の制限ではなく、質や機能の重視をするように」と事前に牽制していた。結果、「安倍一強忖度政権」による出来レースはこれまで報告した通りで、大規模な施設のみの最低制限となっている。

 今回提出された「土地建物売却予約契約案」は、この施設施工制限令に対処するために既存のHTBの施設(ホテル ヨーロッパ、国際会議場等)をまるごと利用し、政府の規定にハードのみを適合しようとするものである。

 行政主導のプロジェクトとは常にハードに主眼を置き、肝心なソフトウェアに疎く、薔薇色の計画、負の遺産ばかりという過去の歴史があり、お粗末極まりない。

 本件開発は、いかにたくさんの富裕層ハイローラーなどを常時取り込み、後背地の多くの人々が安定したリピーターとして回遊し、「近くて便利で楽しい」統合型IRの建設が本来の目的である。箱物さえつくれば人々がたくさん来るというものではない。

 この為に、佐世保市は海外カジノ企業とHISとの仲介を買って出て、当初僅か15億円で購入継承したHTB(現・事実上HIS所有の土地建物)を今後、205億円で海外カジノ企業に売却予約をすると言っているのである。

 本当にうまく行くのなら、HISは積極的にIRに参加し、自身の資産のみの売却などはあり得ない話である。

 詳細は判明していないが、この大きな差額は誰に渡るのか?各種の公租公課まで減免しての経緯は何だったのか?佐世保市議会はこれを簡単に認めるのか?不明な点が実に多い。

 しかしながら、これまで何度も説明しているように、後背地人口の少ない地方の候補地にチャンスはなく、「安倍・トランプ密約」により、横浜、大阪を除く、残る1カ所は東京を中心とした関東都市圏か名古屋を中心とした中部都市圏ではないかと考えている

 安倍政権は、全国3カ所を一斉に決定するなどとは一切言っていない。そんなに簡単な話ではないのである。

【青木】

関連キーワード

関連記事