【れいわ新選組・山本太郎代表に聞く】「20年デフレ」脱却のため、捨て身の集団をつくる(3)
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マレーシアに学ぶ消費税の今後
――8月下旬、マレーシアに行き、副財務相や首相経済顧問らと面会したとの報があった。
山本 消費税を廃止した影響を視察した。立憲の中谷一馬(なかたに・かずま)氏や高井崇志氏ら4人の若手国会議員と2人の地方議員と私、それに評価を聞きたくて松尾匡(まつお・ただす)先生(立命館大学教授)にも同行していただきました。
昨年6月にGST(物品・サービス税)を廃止し、9月に昔のSST(売上税およびサービス税)を復活させた。この2つは大きく違い、GSTが545の非課税品目をもつのに対し、SSTの非課税品目は5,443とケタ違いに広いうえ、高級サービスに課税されます。
GSTを廃止したら消費がバンと上がり、旧税SSTを再導入したことによって一度消費は冷えたが、慣れてきたころにまた消費が復活している。米中貿易戦争の影響などもあって輸出が伸びないなか、民間消費はマレーシアの経済成長を下支えし、2018年の成長率は4.7%と好調です。
GSTの廃止と旧税SST復活の結果、税収は半減した。しかし、政府は経済成長したうえで税収を増やしていくとの考え方で、非常にまっとう。景気も悪いのに増税して税収を減らすどこかの国とは違う。
――10月から消費税が10%に上がる。この影響をどう見るか。
山本 かなり深刻だと思います。2014年4月に消費税が5%から8%へ引き上げられたとき、個人消費に大きな落ち込みがあり、経済にも打撃があったが、好調な輸出や海外の経済に助けられた面がある。今回はその背景がなく、影響が直撃するのではと危惧しています。1997年に消費税を5%に引き上げた翌年、アジア通貨危機が起きたことと重なるような経済状況になっていく可能性すらあります。
――「れいわ」としての対応は何かお考えか。
山本 難しいですね。増税前にブレーキをかけたり、変えていくのは与党でないと。草の根という現状では、いったんは10%に甘んじ、あとでひっくり返すしか方法がない。いただいた228万票を基に、いかに消費税がひどい税制であるかを訴えていきます。財源はほかにもあるんです。20年にわたってデフレが続くなか、公債発行してこの国の経済を復活させるための土台をしっかりつくっていかないと、お先真っ暗です。変えるためには、人々の力を集めるしかない。
――今、スーパーマーケットなどの前で演説したら受けるかもしれませんね。レジの導入などで混乱していますから。
山本 そうですね。マレーシアで消費税(GST)が導入されたとき(2015年4月)、会計システムなどにITを導入するために中小企業はそれなりの負担をした。それをやめるとなったときに、不満が出たという。ただ、うちが政権を取れば消費税はゼロだから会計も簡単。混乱を生まないためにも「ゼロ」にすることは有効です。
北海道ツアーで地元の声を
――9月18日から北海道ツアーを組まれた。その意図は。
山本 これまでは国会が始まる前まで全国街宣をして、次の国会で問題になるテーマを宣伝して回っていた。今は国会議員でないので、国会が始まっても外に居続けられる。全国を回る場合には、衆院の解散を前提にした場合と、前提なしの場合とがある。解散前提だと時間的制約があり、全国を丹念に回ることが難しくなる。主導権は向こう側にあるから断定できないが、今回は解散がないパターンでまずは北海道からという考え。
それでも、ずっと行きっぱなしではなく、9日間くらいで1回東京に帰って態勢を立て直したり、フィードバックしたりする。こういう問題があったとか、足りないものは何だったかとか。それを数日間でまとめ、次のブロックへ。東北かどこか決まってないが、解散の空気を含め、答えが出ていると思う。
――最初の場所に北海道を選んだのはなぜか。
山本 ないがしろにされている地方という意味で、象徴的だからです。食料自給率が非常に高い場所なのに、TPP(環太平洋経済連携協定)や日米貿易交渉でそれが壊されていたり、冬はかなり厳しい環境にありながら、交通機関はどんどん廃線になったり、国の責任から切り離されている。四国や九州を含め全国的にそういう傾向はあるが、北海道は寒くなる前にと思いました。9日間では十分でないとわかっているが、そのなかで許される限りの移動をして、地元の人々の声を直接お聞きしたい。
(つづく)
【高橋 清隆】<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)
1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。関連キーワード
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