【れいわ新選組・山本太郎代表に聞く】「20年デフレ」脱却のため、捨て身の集団をつくる(2)
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障がい者施策は超党派で
――会派は今後、どのようにされるのか。立憲民主党や国民民主党などと交渉はされているか。
山本 交渉はまったくしていない。立憲と国民の合併をめぐる話し合いが決着していないことに加え、今、統一会派になる意味があまりはっきりしない。選挙が近付いてきて野党が固まりになっていくという話なら一緒になっていくこともあり得るが、今の時点では2人会派でいいのではないか。
舩後・木村両氏が求めていく政策は、与野党問わず、超党派で進めていかなければならないものが多い。政権交代に向け野党は力を合わせていくぞという特別な事情があり、気運が深まれば会派が1つになることもあるかもしれないが…。
――各党との協議のなかで2人の質問時間の確保も求めていくのか。
山本 これは完全な合理的配慮※。お願いするまでもなく本来、国会自体が動かなければならないが、当事者からもお願いする必要がある。
※障がいのある人から、社会のなかにあるバリアを取り除くために何らかの対応をしているとの意志が伝えられたとき、負担が重すぎない範囲で対応することを求めるもの。国連の「障がい者の権利に関する条約」の批准に向けた国内法として2013年に制定、2016年に施工された「傷がい者差別解消法」に明記された。
――質問時間を得た場合、当然障がい者施策以外のことも発言していくのか。
山本 メインは障がい者施策だと思うが、それ以外もテーマは多岐にわたる。ただし、すべてはつながっているはず。増税の問題も生存権につながる問題も、2人の議員は関われる話。そのなかでも、専門性、当事者性という要素が重視されてくるとは思う。
――舩後・木村の両氏とは臨時国会に向けた意見のすり合わせをされているか。
山本 事務所態勢もできつつある。2人の存在をさらに進化させられるような、障がい者施策におけるスペシャリストがサポートに付くことが決まった。一言で障がい者施策と言ってもなかなか幅広いが、たとえば、舩後さんであればALS(筋萎縮性側索硬化症)からウイングを広げた障がい者施策に対してカバーしていけるような態勢をつくっているところ。それ以外の部分に関してはこれからすり合わせていく部分はあるが、れいわ新選組としての基本政策には同意してもらっている。
――すでに国会も変わり始めた。議場に車いす用の議員席が設けられたし、公費による介護サービスを通勤・就労にも使えるよう「検討中」との答弁書が決まった。
山本 当事者が入ることによって物事が動くことがあるのだと実感しています。しかも、2人は一般にいわれる当事者より強力だから、初登院前から事態が動き、今も話し合いが続いている。
野党共闘とプラットホーム構想
――立憲と国民との合流協議が進んでいるのを、どうご覧になるか。
山本 もともと、1つ屋根の下にいた仲間のはずです。それほどハードルの高い話ではないと、よそ者としては思う。本当は参院選前にそういうことができれば、もう少し結果が違ってきた可能性はある。でも、ないよりあった方がいい。固まりになっていくことは必要ですから。
――国民の玉木雄一郎代表は、リベラルから穏健保守までカバーする党の「改革中道」路線は維持するとしている。共産党外しの野党分断工作の可能性は。
山本 我々が画策したものでないから、狙いは断定できない。ただ、共産党に対するリスペクトを忘れてはいけないでしょう。自分たちの候補者を降ろしてでも全体的な勝利に結び付けようとする努力は、共産党を見ていれば、その先頭に立ってくださっていたことは間違いない事実。これに対して、共産党とは一緒にやれないという話になっているなら、守りたいものは何なのかと思う。自分たちの既得権か。そんな小さな物事にこだわったりしている人たちには、到底この国のかじ取りは任せられない。まさかそんな考え方をされているとは思っていない。大きな固まりをつくっていくうえで、政権交代を実現するための一歩だろうと思う。
――山本氏が共産候補の選挙応援に入ったことを、志位和夫委員長が「非常に感謝している」と述べていた。
山本 もったいないくらいの評価ですね。むしろ、関係性を良好に保つやり方を私が勉強させてもらっている。でも、応援しに行くのは辰巳孝太郎さん(大阪選挙区)や倉林明子さん(京都選挙区)ら候補者の方々がすばらしい議員だからです。数々の問題を追及されてきた実績があります。
――選挙中、「プラットホーム構想」に言及された。採決で本心に逆らっている与野党議員の受け皿になる構想だが、具体的に何か働き掛けは考えているか。
山本 こちらから誰かを引っこ抜くみたいな話は一切考えていない。もめる原因だから(笑)。ただし、今でも現役議員や落選議員を含め、問い合わせはあります。お話をしたいとか、食事をしたいとか。実際に食事をした方もいるし、お会いした方もいる。だからといって、「じゃあ、うちでやりましょう」とはならない。これから野党共闘がどこまで進化して、そこに政策、私たちが求める最低でも消費税5%まで載せられるか見えていない。だから、いまのところはお互いの考え方を交換するにとどまっています。会いたいという問い合わせを現役議員から受けて、その人のことを少し調べると、「これちょっと無理やろ」みたいな方もいらっしゃいますね。
――魅力を感じたから接触を図ったのでは。
山本 もしくは、自分の選挙区に誰かを立てられるのが嫌だったのかもしれないし、狙いはわからない。考え方が180度違ったとしても、世の中を変えていこうという立場の先生方と意見交換させていただくという感覚でやっている。そのなかには自民党の方もいるし、別の党の方もいる。
(つづく)
【高橋 清隆】<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)
1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。関連キーワード
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