2024年11月23日( 土 )

『脊振の自然に魅せられて』「里山を彩る ヒガンバナ」彼岸花 ヒガンバナ科

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雨上がりのヒガンバナ(福岡市早良区脇山)
雨上がりのヒガンバナ(福岡市早良区脇山)

 9月中旬から10月初めに田んぼや里山を歩いていると、赤い花が田んぼの土手に彩りを添えるように群生しています。皆さんご存知の彼岸花(曼珠沙華 マンジュシャゲ)です。

 有毒植物で、食べると食中毒を起こし、目眩や下痢を起こし、死に至ることもあるとされています。日本固有種ではなく、中国から食料用に持ち込まれ、飢饉の時、鱗茎をさらして食料にしていたそうです。

 なぜ田んぼで多く見かけるのかについては諸説あります。ネズミやモグラがミミズを求めて田んぼの土手に穴を掘ったため、田んぼの水が流れ落ちるのを防ぐために有毒の植物であるヒガンバナを土手に植えたともいわれています。

 ヒガンバナの仲間であるキツネノカミソリと同じく開花時期には葉がなく、茎から30〜50㎝伸びて花を咲かせています。開花時期に茎が土から伸びて花を一斉に咲かせている姿を想像してもらえたらと思います。

 脊振の写真を撮り始めたころ、夕日にシルエットが浮かぶヒガンバナをイメージして撮影を試みたことがあります。広い田んぼに夕日が沈み、ヒガンバナがシルエットに浮かぶまで待って撮影をしました。稲刈りのトラクターがヒガンバナ越しに動いている様子も撮影したことがあります。

 真っ赤なヒガンバナと垂れた青い稲穂とのコントラストも素敵です。

 私は雨上がりのヒガンバナに露が輝いている光景が大好きです。雨上がりのヒガンバナは生き生きとしており、植物本来の姿を見せてくれます。 

 交配種なのか、最近、場所によっては黄色や白のヒガンバナも見かけます。

 ヒガンバナには死人花(しにひと花)、仏花(ホトケ花)、地獄花(ジゴク花)などの異名があり、忌み嫌う地方もありますが、赤い花はめでたいとする地域もあるようです。

 私は幼い時、ヒガンバナをカンザシにして妹にあげた記憶があります。稲穂の実りの季節を知らせる植物でもあります。

里山のヒガンバナ(福岡市早良区脇山)
里山のヒガンバナ(福岡市早良区脇山)

2019年10月2日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

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