2024年11月23日( 土 )

「穏便に政権交代の道を」と山本太郎氏、他党からの引き抜きを否定

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記者の質問に答える山本氏(2019.10.4参院議員会館で筆者撮影)
記者の質問に答える山本氏
(2019.10.4参院議員会館で筆者撮影)

 「れいわ新選組」の山本太郎代表は4日、国会内での記者団の質問に対し、政権交代実現には消費税5%への引き下げが不可欠との考えを改めて示すとともに、8月下旬マレーシアに同行した立憲民主党の若手らを引き抜く考えを否定。「穏便に政権交代の道を進みたい」と述べた。

 消費税5%での野党共闘にこだわる理由について問われた山本氏は、過去7年間に特定秘密保護法や国家戦略特区法、派遣法改正、TPP(環太平洋経済連携協定)など「対決法案」で争ったにもかかわらず負けてきたことを挙げ、「希望ある経済政策を何も示せなかったから」と分析。

 「野党側は口を開けばプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化という。黒字にすればパイはどんどん小さくなる。アルゼンチンやギリシャを見れば、国のかたちがどうなるかは明白」と、これまでの経済政策をめぐる主張を批判した。

 「需要を喚起する政策を打たないなら、政権を任されるはずがない。その一番わかりやすい方法は、消費に対する罰金をなくすこと」と消費税の廃止・減税を主張。「このことに関して反応できなければ、万年野党でいる以外ない」と突き放した。

 消費税5%での野党共闘が難航するなか、マレーシアのGST(物品・サービス税)廃止の影響を一緒に視察した立憲の若手国会議員と組む可能性については、「政治は数というなら大歓迎。ただ、私はできれば穏便に政権交代の道を進みたい」と否定した。

 山本氏は参院選後、自民党を含む与野党議員から面会を求められ、意見交換したことを明かし、「皆さん、減税5%は必要だとおっしゃっている。人々の生活だけでなく、自分の議席を守るためにも。ということは、どこかを境に決壊する恐れがあるということ」とけん制した。

 そのうえで、「個人として『私たちも』というなら断る理由はない。こちら側から手を突っ込んでとは思わないが、選挙が近くになかったとしても、そういう動きがあれば歓迎したい。私たちのプラットホームも大きくなっていく」と述べる一方、「私はそこまで大問題にするより、野党全体で消費税5%にして政権交代を狙っていく方が、穏やかじゃないか」と、引き続き各野党に5%での合意を呼び掛けていく考えを示した。

 5%で野党の足並みがそろわない場合、「れいわ」は次期衆院選で全国に100人の候補者を擁立することを表明している。見極めの時期はまだ定まっていないとしながら、「一定の期限のなかで、自分たちのなかで整理しておく必要がある」と述べ、どこかで線を引く考えだ。

 消費税5%案については、共産党の志位和夫委員長が山本氏との共同会見で「合理的な話し合いをまず進めることに賛成する立場だ」(9月12日)と述べている。

 山本氏は8月下旬、立憲の中谷一馬(なかたに・かずま)・高井崇志・伊藤俊輔・松平浩一の衆院議員4人を含む8人でマレーシアを視察した。このことについて、国民の玉木雄一郎代表が「研究してみる価値がある。勉強したい」(9月5日)と関心を示す一方、立憲の枝野幸男代表は「消費税をなくしたけれども失敗した国だ」(8月30日)と冷ややかな見方をする。

 国民・立憲の両党は、消費税10%増税を約して解散した野田佳彦元首相率いる「社会保障を立て直す国民会議」と統一会派を組むことで9月に合意し、今臨時国会に臨んでいる。

<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)  

 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。

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