2024年11月22日( 金 )

最も大事なのは一次予防の養生「生活習慣の改善」である!(2)

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(社)日本統合医療学園 理事長・学長 吉村 吉博 氏

病気になる原因や、病気にならない方法を知ることが重要

 ――『予防は最大の治療なり -125歳への挑戦-』(日本統合医療学園)を出版されました。とても、易しく書かれており読者に人気です。

 吉村 現代の医療技術の発展は目覚ましいものがあります。しかし、医学が進歩しても病気や患者数は減るどころか増える一方です。その根底には生活養生、生活環境の問題があります。人は誰でも病気にかかりたくありません。そのためには、病気になる原因や病気にならない方法を知ることが重要です。この病気にならない方法が生活養生や生活環境による予防です。

 大学病院や巷の医師が○○病の予防には「早期発見、早期治療」と言いますが、これはあくまでも二次予防です。本当の予防は一次予防である養生「生活習慣の改善」であり、本人自身が日々努力していかなければならないものです。このことを、多くの方に知っていただきたいと思い、本書を出版しました。おかげさまで、たくさんの方に読んでいただき、嬉しく思います。

 今、西洋医学で早期発見、早期治療のライン上にある「未病」という概念はもともと中医学の言葉で一次予防の範疇にありました。WHO(世界保健機関)の統計では、全世界で健康な人は10%、半健康な人は70%で、20%が病気の人となっています。

健康な状態では未病先防(一次予防):食事・運動・生活習慣の改善で、病気になる前に

先手を打って病気を未然に防ぎます。ストレス、食の不摂生、運動不足、不規則生活、休養不足、環境悪化、食品添加物、喫煙などが半健康になる要因となります。

 半健康な状態では、既病防変(二次予防):早期発見・早期治療で、現に現れている病を悪化させないようにいたします。疲労、のぼせ、倦怠感、冷え性、不眠、食欲不振などを見逃さないようにし、高血圧、脂質異常、肥満、高血糖、高尿酸の自覚症状には注意が必要です。病気(がん、心臓病、糖尿病やアルコール肝障害など生活習慣病に至るまで)の状態では、癒後防復(三次予防):再発防止で、治癒後にぶり返さないように予防をいたします。

漢方薬は胃のなかに何もない状態で飲むことを進めている

 ――西洋医学と中医学は具体的にどのような違いがあるのでしょうか。教えてください。

 吉村 西洋医学はミクロ・絶対医学で、病気が発症してからの医学で、検査を重視しています。一方、中医学はマクロ医学・相対医学で、養生から発展したため、病因を追求し、生活習慣(ストレス、食・運動・生活習慣・環境改善)などの予防にまでアドバイスをすることができます。西洋医学が西洋薬・手術から西洋薬~リハビリという流れになるのに対し、中医学では、養生~漢方薬・鍼灸・気功・薬膳・推拿~養生の流れで完治します。

 治療手段と役割ですが、西洋医学では瀉法(鎮痛薬・抗菌薬・ステロイド薬など)が主となります。

 一方、中医学では、瀉法もありますが、補法(補中益気湯・四物湯など)が多く使われています。西洋医学では病名がわからないと治療ができませんが、中医学では症状(証)から治療を開始することができます。処方薬では、西洋薬は副作用が現れることが多く、中医学は証があっていれば副作用はほとんどおきません。そのため西洋薬は空腹の状態で飲むことを推奨していませんが、漢方薬は効果を上げるために、「食前や食間(食後2時間後)」と、胃のなかに何もない状態で飲むことを進めているわけです。

 西洋医学では、原則的には、病名が同じ患者には同じ薬が調合されます。一方、中医学では、同じ病名でも、証(患者の状態)により薬が異なります。

(つづく)
【金木 亮憲】

<プロフィール>
吉村吉博氏(よしむら・よしひろ) 

 日本統合医療学園学長、星薬科大学大学院博士課程修了、星薬科大学助教授、日本薬科大学漢方薬学科教授、アメリカ合衆国疾病対策センター(CDC)にて研究、漢方吉村薬局顧問、東京農業大学・東京家政大学・星薬科大学非常勤講師。

 著書として『中医漢方医学の基礎』、『中医漢方医学の生薬と処方』、『中医漢方医学の治療と症例』、『予防は最大の治療なり』、『登録販売者攻略テキスト』、『登録販売者根底300題』(以上、日本統合医療学園)『基礎薬学(必須講座薬剤師国家試験対策)』(日本工業技術連盟)、『分析化学〈2〉』(南江堂)、『わかりやすい機器分析化学』(広川書店)ほか多数。メディア出演として「発掘あるある大辞典」(フジテレビ系)、読売新聞、日刊ゲンダイほか多数。

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