全国・業界初となる試みに挑戦 中古キュービクルの買取事業(後)
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徹底したリスクヘッジ
この新規事業においても、中氏が謳う「お客さまの利益を前提とした事業」の理念が徹底されている。同社が買い取ったキュービクルは、同社のグループ企業であるキュービクル管理会社が買い取る。この管理会社は買い取ったキュービクルを資産として15年間保有、運用を行う特別目的会社である。そして、新電力会社から電気を仕入れ、顧客へ電力を供給する役目もはたしている。この管理会社は、総合電商の倒産リスクに備えた倒産隔離会社として設立されたもので、万が一総合電商が倒産したとしても顧客に不利益にならないスキームを成立させている。
また、キュービクル利用のネックの1つである保安管理においては、所有者が代わっても従来の管理会社に点検・整備を行ってもらうため複雑な手続きや顧客と管理会社の関係を崩すこともない。電気料金においては、キュービクルの買い取りの提案を行う際に、電気料金の見直しも同時に行われるため買い取る前の料金よりもさらに値段が安くなるメリットが発生する。
このように顧客にとっては至れりつくせりの事業だが、すべてのキュービクル所有者から買い取りができるわけではない。たとえば、キュービクルが設置されている店舗が事業用定期借地にある場合などは、15年後に建物を取り壊し、更地にして戻す契約になっているため買い取りが難しい場合もある。また、利用しているキュービクルがリース物件で残存期間がある場合は難しい。これらの条件などを踏まえ、顧客にデメリットが生じないように徹底的に試算したうえで買い取りを行っている。
同社は18年10月に買取事業のトライアル営業を開始し、すでに300社以上の買い取りを行っている。19年2月からは営業代理店の募集を開始し、本格的に事業に取り組み出した。中氏は「キュービクル自体の管理費がかかっているか、更新・修理費用がどれほどかかるか知らないお客さまは多くいます。また、基本的に多くの企業は売ることばかりを先行してきたので、このように困っていらっしゃるお客さまに対して新しく売ることしかできませんでした。そこで、逆の発想で買取事業を始め、できるだけお客さまに不利益にならない事業を開始しました」と語る。顧客の利を第一とする創業理念をそのままに、業界に新たな風を吹かせた同社。無償提供という第一風に続き、事業拡大へのさらなる追い風となるか、今後の動きに注目だ。
(了)
【麓 由哉】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:中 保人
所在地:東京都中央区日本橋茅場町1-3-9
設 立:2005年6月
資本金:2,500万円
売上高:(19/5)49億3,334万円法人名
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