2024年12月22日( 日 )

日本の近未来を左右するアジアの新潮流:その源流はインドにあり!?(中編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年11月15日付の記事を紹介する。


 とはいえ、注意すべきリスクも生まれつつある。というのも、日本の動きは結果的に、警戒感を強める中国とロシアの接近を加速させているからだ。具体的には、ロシアは中国に海上発射の巡航ミサイルを提供することになった。急速な軍の近代化を進める中国ではあるが、海軍力においてはアメリカや日本にはまだまだ及ばない。そこで、ロシアとの急接近となったわけだ。

 要は、日本の動きをテコに、ロシアから最先端の武器を調達しようということである。これこそ中国式交渉力といえよう。ロシア外交筋によれば、「中国はロシアの支援で太平洋にて、今後はより積極的な軍事展開が可能となる」。現在、中国に近代的な軍事技術を提供できる立場にあり、実際、そうした動きを加速させているのはロシアだけである。

 こうしたロシアからの援助や協力がなければ、中国はアメリカやその同盟国との軍事的な対立に勝てる見込みはない。本音の部分ではロシアと中国はともに世界的な覇権を目指している国同士。時にライバル視するも、時に同盟国にもなる関係といえよう。アメリカ一辺倒できた日本とは大違いだ。

 実際、2015年8月にウラジオストックを舞台に実施された中ロ合同演習は過去最大の規模となった。しかも、中ロ友好協力条約によれば、「どちらかに脅威が及んだ場合、他方が支援する」という相互援助が条文化されているのである。仮に米中が軍事的に対立した場合、ロシアは中国を支援するというわけだ。

 もちろん、その逆もある。片務的な日米安保とは異なり、まさに軍事同盟としての役割が明文化されている。2017年9月にも日本海周辺で中ロの合同軍事演習が展開された。極め付きは2018年にロシア極東方面で行われた「ボストーク2018」と銘打った中ロ軍事演習であろう。多くの中国軍兵士が参加し、中ロの軍事同型関係をアピールし、世界の注目を集めたものだ。

 では、そうした動きを加速させる中国の意図をどう分析すべきであろうか。また、南シナ海における軍事基地化の本当の狙いは何なのか。中国は新たに建設した飛行場にジェット戦闘機を送り込んでいるようだが、その目的は何か。しかも、配備されつつある戦闘機はロシア製のSU-35と目され、世界最高の性能を誇るもの。アメリカも一目置く存在だ。

 アメリカを誘い出した上で、ロシアとも結託し、超大国アメリカを潰す戦略に舵を切ったとでもいうのであろうか。言うまでもなく、財政赤字に苦しむアメリカはアジア太平洋地域において、その海軍力が「ハウス・オブ・カーズ」と揶揄されるごとく脆い存在になりつつある。そうしたアメリカや日本にとっての「不都合な真実」を見越した上での中国的深慮遠謀のなせるワザなのか。

※続きは11月15日のメルマガ版「日本の近未来を左右するアジアの新潮流:その源流はインドにあり!?(中編)」で。


著者:浜田和幸
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