2024年12月24日( 火 )

九州地銀の2020年3月期 第2四半期(中間期)決算を検証する(2)

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 【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の20年3月期の第2四半期(中間期/9月期)の経営成績である。

~この表から見えるもの~

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(1)経常収益(一般企業の売上高)について

 金融グループの19年9月期(中間)の経常収益トップはふくおかFGで、前年比+177億2,100万円の1,384億6,400万円(前年比14.7%増)。

・2位は九州FGで、前年比+7,600万円の845億4,500万円(0.1%増)。

・3位は西日本FHで、前年比+7億1,000万円の716億5,200万円(1.0%増)。

 ふくおかFGの伸び率に対して、九州FG、西日本FHは微増にとどまっており、格差が拡大しているのがわかる。

 金融グループ(北九州銀行は単体)の経常収益は、前年比+183億7,600万円の3,016億7,400万円(6.5%増)。それに対して金融グループ以外の単独9行の経常収益は、前年比▲106億5,200万円の1,116億円(▲8.7%)で、金融グループはその2.7倍と圧倒的に多い。

 銀行別に経常収益を見ると、トップは福岡銀行(単体)で前年比▲8億8,300万円の902億7,800万円(▲1.0%)。2位は西日本シティ銀行(単体)で前年比+5億7,000万円の636億3,200万円(0.9%増)。

・以下、肥後銀行、鹿児島銀行、大分銀行、宮崎銀行、佐賀銀行、十八銀行の順となっているが、十八銀行(単体)は前年比▲20.2%、大分銀行(連結)は前年比▲17.9%、佐賀銀行(連結)は前年比▲15.3%と、大きく落ち込んでいる。

(2)経常利益について

 金融グループの19年9月期の経常利益トップはふくおかFGで、前年比▲92億200万円の297億9,000万円(▲23.6%)。

・2位の九州FGは前年比▲16億200万円の162億6,400万円(▲9.0%)。

・3位の西日本FHは前年比▲34億7,200万円の153億4,400万円(▲18.5%)と大きく減少し、2位の座を九州FGに譲っている。

 銀行別に経常利益を見ると、大きく増加しているのは筑邦銀行(連結)で、前年比2億7,200万円の8億5,600万円(46.6%増)。次がふくおかFG傘下の熊本銀行で、前年比6億7,900万円の21億4,000万円(46.5%増)となっている。

・反対に経常利益が大きく減少したのは西日本FH傘下の長崎銀行(単体)で、前年比▲1億1,200万円の1,000万円(▲91.8%)。

・次がふくおかFG傘下の十八銀行と親和銀行。十八銀行は前年比▲17億7,500万円の8億4,000万円(▲67.9)。親和銀行は前年比▲17億3,800万円の25億2,600万円(▲40.8%)。

 十八銀行とふくおかFGの経営統合は昨年7月に公正取引委員会の承認を得たが、両行は長崎県の貸出金シェアを下げるため、1,000億円の債権を他行に譲渡したことが主因。

(3)当期純利益について

 金融グループの9月期(中間期)純利益のトップはふくおかFGで、前期比+1,079億9,800万円の1,352億7,000万円(前期比396.0%増)。要因は十八銀行と経営統合したことにともなう負ののれん発生益1,174億3,300万円による。その特殊要因を差し引けば、前年比▲94億3,500万円の178億3,700万円(▲34.6%)で、大幅な減益となっている。

・2位は西日本FHで、前年比▲ 15億6,800万円の111億7,500万円(▲12.3%)。

・3位は九州FGで前年比▲ 9億5,000万円の111億6,200万円(▲7.8%)。西日本がわずか1,300万円上回って2位の座を死守している。

 銀行別で当期純利益が前年比増加しているのは、筑邦銀行(59.2%増)。南日本銀行(47.4%増)。熊本銀行(46.7%)。佐賀共栄銀行(25.1%増)。鹿児島銀行(11.7%)。肥後銀行(3.0%)、の6行となっている。

<まとめ>

 九州地銀18行のうち、19年9月期(中間)の決算が前期比プラスの銀行は6行で、その比率は33.3%。残り12行はマイナスでその比率は66.7%。全国で上場している78の地銀金融機関のうち、22が前期比プラスでその比率は28.2%。残り56が前期比マイナで、その比率は71.8%と発表されている。九州地銀の比率はそれよりも良いが、はたして、20年3月期の決算はどのような経営成績となるのだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問浜崎裕治】

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