2024年12月24日( 火 )

中国経済新聞に学ぶ~長江デルタ一体化 活気あふれる成長源に

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 12月1日に発表された「長江デルタ一体化発展計画綱要」(以下「綱要」)は、長江デルタ一体化発展の「早送り」を押した。台頭中の世界6位の都市クラスタ、「一帯一路」及び長江経済ベルトの交差点である長江デルタは新時代の高品質発展の実現においてより重要な使命を与えられた。この経済規模が全国の約4分の1を占める地域は、新たな発展理念の実施に取り組み、現代化経済体制を構築し、より高基準の改革深化及びよりハイレベルな対外開放を推進することで、中国の改革開放の空間構造を改善する。

 中国政府は改革開放の空間配置を改善する重大な措置として、長江デルタ一体化は「一帯一路」の建設、京津冀(北京・天津・河北)の協同発展、長江経済ベルトの発展、粤港澳大湾区の建設と相互協力する。

 長江デルタの人口は約2億2,000万人で、その経済規模は全国の25%を占める。近年すでに世界の投資家の中国事業展開の重点になっている。公式統計デー夕によると、江蘇省だけでも今年上半期の実行ペース外資導入額が152億5,000万ドルにのぼり、同期の中国全体の21%以上を占めた。

 また長江デルタの外資導入の質も向上している。バイオ医薬、スマー卜製造、高級ソフト・情報サービス業、省エネ・環境保護産業などのハイテク産業に流入する外資の拡大が続き、現地で本部を建設するグローバル企業も増えている。例えば上海市は今年8月末までにグローバル企業の地域本部を計701社誘致しており、うちアジア太平洋本部が106社となっている。

 これを踏まえた上で、中国は世界の投資家に対する長江デルタの魅力を引き続き拡大しようとしている。綱要は、製造業・サービス業・農業の対外開放をさらに拡大するとした。製造業については、自動車・航空機・船舶などの業界への参入ハードルを引き下げ、世界トップ500社及びリーディングカンパニーを積極的に誘致する。サービス業については、金融市場の対外開放を加速する。農業については、国内で不足する農産物の輸入を適度に拡大し、世界の現代農業の先進生産技術及び経営・管理方法を積極的に導入する。

 数が多く活気ある民間企業により、長江デルタは中国の対外投資の主力になっている。公式データによると、2017年には浙江省と江蘇省の対外投資企業数だけでも、同年の中国の対外直接投資家の20%以上を占めた。

 長江デルタは中国の対外投資のリーダーで、この地域の中国企業が多くの対外投資を行っている。ボルボを買収した浙江吉利控股集団、カンボジアで工場を建設した江蘇紅豆集団などがそうだ。一部の企業は対外投資の中で製品を輸出し、さらには中国の基準の海外輸出に成功した。この状況下、長江デルタの対外投資の拡大を引き続き推進することは、中国全体の対外投資の質向上に対して重要な意義を持つ。「長江デルタ一体化計画」はいかに伝統的な行政の壁を打破し、統一的で開放的な市場体制を形成し、国際共通ルールと結びつく制度を作るべきだろうか。地域協調発展戦略の実施を掘り下げ、地域一体化発展を模索する制度及びルート・モデルの模索が行われる。

 政府はまた、上海・南京・杭州・合肥などの経済発展都市により、国際機関および本部経済の高水準集約エリア、いわゆる 「世界最大の都市群」を構築するとした。長江デルタの一体化発展は、全国の地域一体化の発展に範を垂れる。

 綱要の内容によると、計画の範囲には上海市、江蘇省、浙江省、安徽省の全域(面積にして35万8000 km2)が含まれる。上海市、江蘇省南京市、無錫市、常州市、蘇州市、南通市、揚州市浙江省杭州市、寧波市などの27都市を中心エリアとし、長江デルタの高品質発展をけん引する。

 上海市青浦、江蘇省呉江、浙江省嘉善を長江デルタ生態グリーン一体化発展模範エリアとし(面積にして約2300 km2)、長江デルタのより高品質な一体化発展の模範となり、これをけん引する。

 上海臨港などの地区を中国(上海)自由貿易試験区の新片区とし、国際共通ルールと合致する、国際市場のより大きな影響力と競争力を持つ特殊経済機能エリアを構築する。

 この地域は中国の一体化の程度が最も高い地域の一つだ。地理的に近く、人文が共通し、緊密に交流している。上海がリーダーシップを発揮し、江蘇省・浙江省・安徽省が各自の長所を発揮し、地域を跨ぐ連携と協力を強化する。これは地域内の各地区の比較優位性を十分に発揮し、長江デルタ全体の総合力を強化し、社会主義現代化国家の全面的な建設という新たな旅路において全国の先頭に立つことを促す。

 未来の長江デルタのインフラは相互接続し、公共サービスが便利に共有される。「長江デルタ市民」は高品質の医療・教育資源を共有する。高品質公共サービスの供給を増加し、国民生活を絶えず保障・改善することで、改革の発展の成果をより普遍的かつ便利にする。

 綱要は発展目標について、2025年までに長江デルタ一体化発展で実質的な進展を実現するとした。地域や都市部・農村部などを跨ぐ地域一体化発展を高い水準にし、科学革新産業、インフラ、生態環境、公共サービスなどの分野で一体化発展をほぼ実現し、一体化発展の体制・メカニズムを全面的に構築する。また綱要は2025年までに常住人口都市化率を70%の目標を掲げた。


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