2024年11月14日( 木 )

【記者座談会】消費増税、反動減長期化か~2019回顧と展望(2)

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2位 百貨店の閉店相次ぐ

 ――2位は百貨店の売り場縮小と閉店。今年は井筒屋のコレット店閉鎖と黒崎店の縮小、岩田屋三越の久留米店新館閉鎖と同本店縮小と相次いだ。

 A 人口の少ない地方都市では百貨店が成り立たなくなったことを象徴する。閉鎖・縮小は経営判断としては当然と思う。政令指定都市の北九州でも3店は多すぎた。黒崎店は家賃の引き下げで採算の見通しが立ったため1~3階に縮小して営業を継続するが、契約は22年5月までで、その後は撤退もあり得る。

 C 岩田屋久留米店はそもそも天神と電車で30分しか離れておらず、存立が難しかった。親会社である三越伊勢丹は将来性の見込めない地方百貨店からの撤退を進めており、岩田屋三越も赤字を容認できなくなったということだ。9月中間決算では、経常利益が前年同期の1,000万円の赤字から9億2,100万円の黒字に急回復した。

サービス事業に活路

 ――これで閉店は一段落したことになるか?

 A 必ずしもそうとは即断できない。福岡県を除くとほぼ1県1社に集約されたが、それでも安泰とは言い切れない。長期減収で体力をすり減らしているうえ、取引先の大手アパレルが地方百貨店に商品を供給する余力をなくしつつある。代表例がオンワードで、不採算売り場の大規模な縮小を打ち出した。

 すでに佐賀玉屋は百貨店の体をなしていないし、長崎県の浜屋も137億円の売上高で規模的に百貨店とはいえない。

2019年の主な出来事
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増税不況、長期化の恐れ
増税不況、長期化の恐れ

 ――縮小均衡一辺倒なのか。

 C 収益力強化が先決だ。岩田屋三越と井筒屋は店舗閉鎖で収益性が見違えるほど良くなっている。あとはいかに継続的かつ安定的に利益を上げていくかだ。ベンチマークの1つは博多大丸で、早期に人事・給与制度を改革し、売上が伸び悩んでも安定的に利益を出せる仕組みをつくり上げた。

 B トキハが9月、別府店を物販販売から「コト消費」、つまりサービス主体の売り場に改装したのは、今後の百貨店の生き方のモデルの1つになる。劇場を常設したり、足湯をつくったり今までの百貨店にない発想だ。地方百貨店は中央の大手と違い、不動産業などの多角化が難しい。知恵を絞って生き残るしかない。

3位 イオン系3社、統合延期

 ――3位はイオン九州、マックスバリュ(MV)九州、イオンストア九州の経営統合延期。昨年10月統合発表したばかりなのに半年で見直しに追い込まれた。

イオングループ3社統合延期
イオングループ3社統合延期

 A イオン九州の業績改善が想定以上に遅れているためだ。統合を強行すれば新会社の足を引っ張る。今期の業績は増益見通しだが、営業収益2,200億円に対し経常利益3億5,000万円と利益水準は低く、改善には程遠い。と言って、ずるずる先延ばしするわけにもいかず、難しい判断を迫られる。

 B 統合自体は正しい。イオン九州のGMSは新設の余地が減り拡大が難しい。イオンストア九州がダイエーから継承した店舗を建て替えるにしても、自力では限界がある。GMSに代わる小型店事業を展開するにはMV九州との調整が欠かせない。

 C イオンは各地の子会社を地域別に統合し、本部が握っていた権限を移譲することで収益力を強化させるとともに、地域密着の経営を徹底させる考えと思われる。本社主導でやっている物流もその1つで、地方子会社はセンターフィー1つ単独で決められなかった。逆にいうと、本社主導の体制が地方子会社の儲からない大きな原因の1つになっている。

(つづく)

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