2024年11月25日( 月 )

【記者座談会】消費増税、反動減長期化か~2019回顧と展望(4)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

番外 新日本SM同盟旗揚げ

 ――番外になったが、1月リテールパートナーズ、アークス、バローHDが相互に株式を持ち合い、「新日本スーパーマーケット同盟」を旗揚げした。イオン、セブン&アイHDに代わる流通企業の結集軸になると宣言したが――。

 A 3社の業務提携の具体化の第一弾として10月、無添加ワインや北海道産真ホッケの共同開発やバロー子会社の展開するスポーツジムの丸久への導入などを発表した。3社とも場所が離れているため、共同仕入や物流統合などの本格的な提携は難しく、限られた範囲にならざるを得ない。収益への寄与はほとんどないだろう。

 提携が全国に広がることは考えにくい。業績不振企業が支援を求めて参加したいとの要望が出てくるかもしれないが、同盟側が受け入れないだろう。考えられるのは後継者難のオーナー企業だ。

 B そもそも同盟の目的がはっきりしない。流通再編の受け皿になるというが、少数の株を持ち合い、限られた業務提携では参加する利点は少ない。3社同盟にメリットがあるとすればせいぜい安定株主づくりだろう。同盟のキーパーソンであるアークスの横山清社長が80歳を超える高齢なのも、継続に不安を抱かせる。

 C リテール自体が寄り合い所帯で、経営統合の効果が見えない。マルキョウは我が道を行くで、売価表示1つを取っても2社と歩調を合わせていない。出店の動きもなく、経営は統合前と何も変わっていない。

 A それはどうかな。生鮮は丸久の支援で随分良くなったといわれる。店内調理の比率を高めたことで鮮度が上がり、品ぞろえも増えた。

 B アークスが横山社長の考えに共鳴したスーパーが集まり、仕入や新卒採用を共同で行うなど、傘下企業の結束が固いのに対し、リテールは緩やかな連合体という感じだ。それはそれで経営統合のあり方の1つだ。

 ――来年を占うと。

 A 本誌が調べたスーパーの18年度決算によると、年商100億円未満の中小スーパー20社の9割が減収だった。前年度との売上を正確に比較できなかった企業4社も減収の可能性が高い。こうした企業の多くは利益を明らかにしておらず、経営は厳しいと思われる。増税後の節約志向の高まりと人件費高で来年は一段と厳しい。どこまでもちこたえられるか、事業存続をかけた試練の年になる。

 B 長年言われてきたオーバーストアが消費不況下で深刻化し、中堅中小スーパーでは経営破綻までに至らないまでも廃業や営業譲渡が出てくる可能性が高い。    

 C 業態間・企業間の優勝劣敗が鮮明になる。SMでも、新しい提案をしたり、鮮度と品質、品ぞろえに磨きをかけるところと、従来型店舗から抜け出せないところとの差がはっきりする。

(了)

流通メルマガのご案内

 流通メルマガは沖縄を除く九州地区の食品スーパー、ドラッグストア、ディスカウントストアなどの小売業の情報を、土日祝日を除く毎日タイムリーに配信しています。現在、1カ月間に限り、無料で配信させていただきます。無料試読希望者は、下記のメールフォームからお申し込み下さい。
※「流通メルマガ」試読申し込みフォームはコチラ >>

(3)

関連記事