2024年09月28日( 土 )

年のはじめは映画館へ

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 AmazonプライムやNetflixなどの動画配信サービスが始まり、映画やドラマなどの映像作品を楽しむ手段が増えた。電車やバスを利用すれば、通勤・通学中と思しき学生やサラリーマンがスマホで映画やドラマを鑑賞している姿をよく見かける。映画を観るなら映画館、ドラマを観るなら自宅のリビング。そんな時代ではなくなったようだ。

 映画鑑賞の話でいくと、2010年代、筆者はたびたび「映画館不要論」をネット上で目にした。Amazonプライムが日本市場でもサービスを開始したのが2007年、Netflixは2015年。両サービスを含む動画配信事業者がそれぞれサービスを展開することにより、場所と時間を選ばない動画配信サービスの利便性の高さが消費者の支持を集めていく。

 2010年代は、動画配信サービス支持者と映画館愛好家の数が逆転した時代だったのかもしれない。映画館を不要とする意見のいくつかを以下に紹介する。

【映画館は不要】

・映画館だと1,800円支払って鑑賞できるのは映画1本のみ。
 (Amazonプライムは月額500円、Netflix月額800円~見放題)

・本編が始まる前のCMが長すぎる。
 (Amazonプライムは動画鑑賞中に広告が挿入されるが、不満をもつほど長いものはない)

・他人に気を遣わなければならない。
(動画配信サービスを利用すれば基本的にマイペースに作品を楽しむことができる)

 映画館で映画を観るメリットとしては、大スクリーンに高音質で映画を楽しめる。映画館でしか手に入らない特典や商品を購入できる、などが挙げられる。映像や音質にこだわりもなければ特典や関連商品にも興味がない、と言われればそれまでではあるが…。

 ただ、動画配信サービスでは決して超えられない壁があるのもたしかだ。その壁というのが最新作の公開スケジュールだ。たとえば、大ヒット公開中の映画「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」を動画配信サービスを利用して鑑賞しようと思っても、数カ月間待たなければならない。どうしても今観たい場合は、映画館に足を運ぶ必要が生じるのだ。

 この時間差が埋まらない限り、また、待つ時間が惜しいと思われるほどの作品(コンテンツ)を供給し続ける限りにおいて、映画館から人の賑わいが消えることはないだろう。

(単位/百万円)
「(一社)日本映画製作者連盟発表資料参照」
※クリックで拡大

 日本国内の2010~18年における興行収入の推移を見てみると(上表参照)、16年(2,355億円)、17年(2,285億円)、18年(2,225億円)の順に年間の興行収入は良い結果を収めている。それぞれの年にどんな映画作品が公開されていたかというと、、、。

【2016年の主な公開作品】
・「君の名は。」(日本国内での興行収入:250億円)
・「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(同:116億円)
・「シン・ゴジラ」(同:82億円)

【2017年の主な公開作品】
・「美女と野獣(実写版)」(同:124億円)
・「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」(同:73億円)
・「名探偵コナン/から紅の恋歌(ラブレター)」(同:68億円)

【2018年の主な公開作品】
・「ボヘミアン・ラプソディ」(同:104億円)
・「劇場版コード・ブルー/ドクターヘリ緊急救命」(同:93億円)
・「名探偵コナン/ゼロの執行人」(同:91億円)

 人気アニメ・ドラマ作品の映画版や、すでに相応のファンを持つ人気コンテンツの最新作が目立つ。作品そのものが持つ魅力はやはり重要といえる。

 技術革新により、今後も映像作品の楽しみ方は変化し続ける。動画配信サービスでさえ「古い」と呼ばれる時代がいずれやって来るだろう。利用してみたくてももう存在しない、そうなってしまう前に、物見遊山で映画館に行ってみるのも良いのではないだろうか。

【代 源太朗】

関連記事