2024年11月21日( 木 )

人々の大切な節目を担う企業として、目指すは一流の「おせっかいカンパニー」

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(株)ラック

(株)ラック 松井秀二代表
松井秀二代表

 1967年に(株)西日本ウェディングセンターとして産声を上げた(株)ラックは、2022年12月に設立55周年を迎えた。コロナ禍を契機ととらえ、不採算部門の整理や新規事業の立ち上げなどに取り組んできた同社。現場の声を反映させたボトムアップ経営を目指して、社員がつくった理念「一流のおせっかいで、あなたの“とき”を感動で満たす」を軸に、組織永続化に向け歩みを進めている。

設立55周年を機に世代を越えた理念づくりに着手

 1967年に柴山文夫氏によって設立された(株)ラックは、冠婚葬祭事業を通して多くの人々の人生に関わってきた。柴山氏が2019年12月に死去し、その後代表取締役社長に就任した松井秀二氏は、当時をこう振り返る。「社長に就任してすぐに新型コロナウイルス感染症が流行し、2月以降の結婚式の予約が軒並みキャンセルとなったことで窮地に立たされたが、今となってはコロナで大変だった時期をポジティブに考えることができている」(松井氏)。

 松井氏は突如代表に就任することとなったため、就任直後は社長としての実感がわきにくかったが、コロナ襲来の危機感から、自然と社長としての自覚が芽生えたという。松井氏はコロナ禍に入った後、不採算部門の整理や新規事業の立ち上げなど、積極的な事業改革に取り組んでいる。松井氏は「コロナがあったからこそ、就任してすぐの社長である私がさまざまな施策を実行に移すことができた」と話す。

 同社は、設立55年目の節目である21年11月に、ボトムアップ経営を実践するための「Switch PROJECT」を社内メンバー10人で発足。「これからのラックをつくっていくのは、あなたたち社員です。世代は次々に移り変わります。この先誰が経営者になったとしてもぶれることのない、確固たる理念をつくってほしい」というメッセージを、経営陣からこのプロジェクトに託した。そして「MISSION 日々果たすべき使命」「SPIRIT 大切にすべき精神」「VISION 実現したい未来」「VALUE お客様に約束する価値・強み」「SLOGAN ブランドの合言葉」という5つの理念が策定された。

 柱となるのが「MISSION」の「一流のおせっかいで、あなたの“とき”を感動で満たす」である。世の中のニーズが刻々と変化し、コミュニティの希薄化などを余儀なくされていくなかで、福岡の地に根差した企業としてどのように貢献できるか──。この使命を胸に、全社員が愛情と情熱をもって、地域に生きる1人ひとりの心に寄り添い感動のシーンをアップデートしていく、「日本一誰かのために熱く生きるおせっかいカンパニー」を目指している。

顧客満足度を高めるため、まずは社内に目を向ける

 接客などのサービス業における人材の重要度はとても高い。ましてや、結婚式場や葬儀場での対応となれば、顧客の一生で一度の思い出に関わるという点でなおさらだろう。そこで松井氏が主張するのが「顧客満足度の向上には従業員の満足度向上が必要不可欠」ということだ。

 「社員の幸福を追求し『働いてよかった』と思ってもらえるような企業でありたい。そして、社員がこれまで培った企業価値を発揮し、顧客満足度も上げていく」と語っている。コロナ禍という逆境も乗り越え、過去3年間は連続増収をはたし、24年3月期の売上高・最終利益は過去最高となった。

 福利厚生としてはオアフ島ホノルルに所有するコンドミニアムを現在改装中で、また糸島に新たに保養所を建設しており、今夏より稼働予定である。保養所は社員であれば家族と自由に利用できる。松井氏は「子どものころの楽しかった記憶は大人になってからも思い出に残る。社員の子どもが『小さいころにお父さん、お母さんの会社のこういう施設で遊んで楽しかった』といつまでも思い起こすことができるような、社員の家族まで幸せになれるような経験をつくる一助になれれば」と話す。

新事業で新たな軸も 永続できる企業を目指して

INORIA水城ホール
INORIA水城ホール

    コロナ禍を経て、事業再編、新規事業の立ち上げを行ってきた同社。主軸とする婚礼事業、葬祭事業では、最大15億円を売り上げていた結婚式場「Ritz5(リッツファイブ)」の閉館、家族葬の需要拡大にともなう専用ホールブランド「INORIA」の立ち上げなど、それぞれの事業で再編を行った。

 新規事業としては、相続物件問題解決のための不動産売買、リフォーム、遺品整理などを行う不動産事業、「井手ちゃんぽん」「井手カツ丼」などのFC店を展開する飲食事業、自立支援型デイサービス「レッツ俱楽部」を運営する福祉事業を展開してきた。今後はとくに不動産事業に重きを置く。

 核家族化の進行により、現在一人暮らしの高齢者は増加している。もし1人で暮らしている親が亡くなるなどして手続きを進める場合、毎回不動産処理のために現地に足を運ぶ必要があるため、遠方に住んでいればかなりの時間とコストがかかってしまう。そのような状況で、同社は不動産登記や遺品整理、リフォームや不動産売却などを一手に担う。これは同社で行う葬儀業からの周辺事業として確立した。同社は今後も顧客からの相談などを受け「困りごと」を聞きながら、自社で何ができるかを考えていきたいという。

 多くの人々の人生の節目を共にし、さまざまな思い出を紡いできた同社。これからも関わるすべての人々の幸せを追求するため「おせっかい」を通して進化を続けていく。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:松井秀二
所在地:福岡市博多区東比恵3-14-25
設 立:1967年12月
資本金:6,575万円
TEL:092-473-0101
URL:https://j-lac.com

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