東峰村3億円公募事業に疑義 判明した不自然な採点結果(前)
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福岡県東峰村は廃校となった小学校跡地を有効活用するため、今年3月から民間事業者を選定するための公募を行っていた。村が用意したのは、改修工事や設備設置費用として、「破格」の上限3億円。最終審査では、応募者による公開プレゼンを選定委員が採点し、今年7月に優先交渉権者が公表された。
現在、コンペを勝ち抜いた事業者と村は建設工事着工のため、協議を進めているが、今回判明したのは選定委員による不自然な採点結果。意図的に特定の応募者を低く採点したとしか思えない結果に、関係者からは「不自然であり、公平公正とはいえない。応募者を馬鹿にしている」との声が挙がっている。
意図的としか思えぬ採点
一枚の採点表がある。福岡県東峰村で実施された民間公募事業に関するもの。審査員が各審査項目について優劣を5段階で評価するもので、全24項目にわたり細かい評価が求められるものだ。みての通り1項目を除いたすべてが最低評価となっている。選定委員は計8名。どの選定委員が評価したものかは明らかにされなかったが、ここまで偏った採点は異常としか言いようがない。ほか7名も同じ応募者について採点しているが、同事業者を高く評価している者もいる。
常識的に考えて、このような偏った採点は、採点者の思惑があったとしか考えられず、関係者は「意図的に低く採点されたものではないか」と不信感を募らせる。公費が投入される事業である。公平公正な判断が求められるのはいうまでもないが、この採点表について村は「厳正に評価していただいた」として、不自然さを認めようとはしない。後述するが、一連の疑義は情報開示に後ろ向きな村の姿勢に表れている。
3億円の公費支出
福岡県東峰村は福岡県中央部の東端に位置し、大分県日田市と隣接する人口約2,000人の村。2017年7月に起きた九州北部豪雨では、朝倉市とならび河川氾濫の水害により甚大な被害が発生したのは記憶に新しい。今年、村では小石原ダム建設にともなう水源地域振興事業の一環で、11年に閉校した旧小石原小学校を地域の交流施設として改修を行い、村の活性化に協力してもらえる民間事業者を公募した。
旧小石原小学校の敷地面積は約3万1000m2で、村が校舎を一括貸付する。賃貸借料は月額5万円を基準とし、事業契約期間は最低5年。民間事業者が村有の財産を借り受けて、民営施設を運営するもので、その改修工事や設備の設置費用を最大3億円まで村が負担することになっている。まぎれもなく公共事業であり、その大きな予算額からして村の一大投資事業ともいえるものだ。
情報開示に後ろ向き
募集要項は今年3月末に公示され、受付が開始された。選考は公募型プロポーザル方式で、一次が書類審査、二次がプレゼンテーション審査となっていた。応募者のうち、一次審査をパスしたのは4事業者で、今年6月に二次審査である公開プレゼンが実施された。大学教授や金融機関、村議員など8名の選定委員がそれぞれ4事業者の発表を採点した。そして、結果が公表されたのは7月初旬。村が公表したのは、優先交渉権者と次点者の事業者名のみで、選定の根拠となる評価点などは一切公表されなかった。
(つづく)
【東城 洋平】▼関連リンク
・旧小石原小学校跡地利活用に係る事業者募集の選考結果について関連記事
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